「公文式」学歴社会の勝者を生み出す仕掛け

東大生の3人に1人が通った教室の正体

物心つくころからこの学習方法に慣れておく利点は大きい(撮影:津田 聡)

「塾歴社会」の勝ち組の3人に2人が公文式

「公文最強説!?」。これは、2016年1月に発刊された拙著『ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』(幻冬舎)の中で使った見出しである。

「塾歴社会」とは、「学歴社会」における「勝ち組」が、実はごく限られた塾に通っている現状を表現した言葉。中学受験ではサピックスに通い、有名中高一貫校に入学するとすぐに中高一貫校生向け大学受験塾の鉄緑会に通い、東大受験対策を始めるという「王道」が存在する。今や、日本の学歴社会の最高峰・東大理Ⅲ、つまり医学部合格者の半数以上が鉄緑会出身者で占められている。

塾は、入試問題を分析し、それに合格するための効率の良いカリキュラムと勉強法を逆算して組み立てる。塾生たちはそれを粛々とこなすのみ。”結果にコミットする”スポーツジムと同じである。

受験生に求められるのは、大量の課題をこなす処理能力と忍耐力、そして与えられたものに対して疑いを抱かない力くらいになってしまった。その素養をもつ者が、塾歴社会に適合し、学歴社会の勝ち組となっていく構造。

その実態を知るために、鉄緑会出身の現役東大医学部生6人による座談会を実施した。塾歴社会の内幕が明らかになる中で、驚きの事実に出くわした。座談会に参加した6人中4人が公文式経験者だったのだ。その場で、「公文式最強じゃない!?」と皆が口をそろえたわけである。

ゴールから逆算して無駄なく設計されたカリキュラム。こなすべき課題は多いが、それさえやっていけば着実にゴールに近づくシステム。そのために妥協なく、課題はすべてやりきるまで帰れないスタイル。言われてみれば、鉄緑会と公文式の流儀には共通点が多い。

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