「公文式」学歴社会の勝者を生み出す仕掛け

東大生の3人に1人が通った教室の正体

『ルポ塾歴社会』のいわば外伝としてまとめた拙著『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』でも詳しく解説しているが、「東大家庭教師友の会」の協力を得て現役東大生に対するアンケートを行ったところ、東大生100人のうち34人が公文式を経験していた。3人に1人の割合だ。

“理解する喜び”よりも“先に進む達成感”

公文式の名が全国にとどろいたのは1974年。『公文式算数の秘密』(廣済堂出版)が出版され、30万部を超えるベストセラーとなったのだ。

その担当編集者こそ、現在の幻冬舎社長であり、出版界のカリスマ・見城徹である。その本の中で、公文式の創始者である公文公(くもん・とおる)は次のように宣言する。

「私は、ほかならぬ私の子どもの大学進学を考えて、この教材を作ったのである。つまり、高校数学へ一直線に進ませる、最も確実な、効果の高い、学習法である。そして、時間的にも経費的にも、最も安上がりな学習法であるということを、私はあえて明言したいのである。平たくいえば、子どもに確実な学力をつけ、大学進学を有利にするために、いちばん得をするのが公文式であるといいたい」

現在では国語と英語の教材もあるが、もともとは算数・数学のみからのスタートだった。「計算問題は“わかる”よりも“できる”ことが大事」そして「自分の学年よりも2学年、3学年上の計算問題ができるようになれば、自分の学年の文章題や図形問題は難なく解けるようになる」と訴え、あえて文章題や図形問題には手を付けない。その代わりに小学生であろうが幼稚園生であろうが、方程式や微積分にどんどん進ませる。

つまり公文式は、説明が必要なことを一切教材から排除したのである。学習から“理解”という概念を消去したと言ってもいい。“理解する喜び”の代わりに、“先に進む達成感”を、報酬として設定した。だから理解力の乏しい子どもでも、とにかくひたむきに取り組めば、学習から“擬似的に”快感を得られる。それが、公文式が世界中でどんな学力層の子どもたちにも受け入れられる普遍性の秘訣である。

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