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「公文式」学歴社会の勝者を生み出す仕掛け 東大生の3人に1人が通った教室の正体

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現在では世界49の国と地域に教室を展開、全世界で約427万人が公文式を学習している(2016年3月現在)。もはや「KUMON」は世界共通語。認知度からすれば、公文教育研究会は、日本を代表するグローバル企業である。

「学習習慣」と「自学自習」の姿勢も身に付く

『なぜ、東大生の3人に1人が公文式なのか?』(おおたとしまさ著、祥伝社)。数々の学校や塾を論じてきた著者が、「どうして公文式で学力が伸びるのか?」「どんどん進む子とやめてしまう子の違いは何か?」に切り込む。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

一言で言えば、公文式とは、子どもの能力のごくごく一部である「計算力」を効率よく向上する目的に特化してつくられた究極的にシンプルな「専用ツール」である。それ以上でもそれ以下でもない。

しかしそのツールを使いこなす過程において、副産物がもたらされる。コツコツと続ける力、そして、教えてもらうのではなくヒントから類推し自ら気付く力。すなわち「学習習慣」と「自学自習」の姿勢である。この、いろいろなことに応用可能な副産物が、子どもの無限の可能性を開く。

物心つくころから公文式の学習方法に慣れていれば、「与えられた課題はとにかくやるもの」という考えが体にしみつく。面倒くさくても逃げずに課題に取り組む忍耐力も鍛えられる。計算力に代表される処理能力は当然高くなる。これが、「受験工学」に基づき受験を攻略する「塾歴社会」を勝ち抜く3条件にぴったり合致する。塾歴社会、ひいては学歴社会の勝ち組に、公文式出身者が多いのは当然なのだ。

圧倒的な強さゆえ、批判も多い。「公文式では思考力が育たない」「究極の20世紀型教材」「中学受験をするのなら3学年以上先に進んでおかないと意味がない」などについては、拙著で詳しく考察している。

この特殊な学習法をどう使うのかは、私たち次第である。公文式の良いところも悪いところも知ったうえで、公文式をどう評価し、どう活用するか。それはそのまま、自分の教育観の表明になるだろう。

どこの街を歩いても見かけるあの水色の「KUMON」の看板は、今日もあなたに問いかける。「自信をもって子育てしていますか?」「世界中の子どもたちが通い、東大生の3分の1が通う教室が目の前にあるのに、それを無視するだけの確固たる教育方針や教育メソッドがおありですか?」と。

答えがYESならそのまま素通りすればいいし、答えがNOなら教室をのぞいてみればいい。しかし問い自体に気付かないふりをして素通りするべきではない。

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