日本からの欧州への足として存在感が高まっている中東系航空会社。なかでもカタール航空は過去数年、破竹の勢いで世界中にネットワークを広げてきたが、周辺国との外交関係の断絶を受け、かつてないピンチに立たされている。
カタールはこれまで、自国を国際的な航空ハブとして整備し、世界各国の航空需要を取り込む政策を推し進めてきた。はたして、カタール航空はこの危機をどう乗り越えていくのだろうか。
あの「ドーハの悲劇」の舞台
カタールはアラビア湾に面した半島からなる国で、陸側の付け根はサウジアラビアとつながっている。日本人には「カタール」という国名よりも、「首都ドーハ」と言うほうがイメージが湧くかもしれない。24年前の1993年、サッカーワールドカップ(W杯)アメリカ大会への出場をかけた最終予選で、日本代表がイラクに終了間際のロスタイムで同点に追いつかれ敗退が決まった、あの「ドーハの悲劇」の舞台だからだ。
6月5日、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)、イエメン、バーレーン及びエジプトの5カ国は「カタールがテロ集団を支援し、地域の安定を脅かしている」として断交を表明。これらの国々はカタールとの直接の出入国を拒否。サウジアラビアは陸路国境を封鎖したほか、カタールとこれらの国々を結ぶ直行便の運航を停止しただけでなく、カタール機の上空通過も禁止する措置を取っている。
その結果、カタール航空をはじめとするドーハ発着便は、バーレーンの管制空域にある限られた飛行ルートを使っての出入りを強いられている。
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