「カタール断交」は空の便に巨大影響を与える 飛行制限で中東系エアラインに異変も

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特にアフリカ方面行きは真南に向かえばよかったものが、いったん真北に向かい、東側に大きく迂回してから南下するというルートを取らされる。

迂回を強いられる結果、飛行距離・時間が延び、燃料代をはじめとするさまざまな固定費がかさむが、その増加分の費用を利用者に転嫁するわけにもいかない。

中東地域の航空事情に詳しいアナリストのアラン・ピアフォード氏は、「競合のエミレーツ航空は、今回の断交騒動でカタール航空から利用者が逃げると見越し、すでに欧州―アジア間のチケット代を上げてきている」としながらも、「カタール航空が市場シェアを維持するため、思い切って値段を下げてくる可能性も否めない」と説明。カタール航空は今後、コスト拡大が見込まれる中、安く売ってでも搭乗率を上げて生き抜く戦略に出ることになるという見方を示している。

今回の断交を経て、同社のUAE便やサウジ便など1日当たり55便前後がタイムテーブルから消滅。アナリストの間では、同社が運航していた中東地域への近距離便がなくなる分を他の長距離便への需要で補うことは難しいことから「前年比で10%以上の減収は避けられない」との声も出ている。

主要客層の「メッカ巡礼団」が運べない

カタール航空にとってのさらに大きな痛手は、サウジアラビアへの「メッカ巡礼団」が運べなくなることだ。統計調査会社statistaの資料によると、同社の全供給座席数のうちサウジ便は約6%を占めているという。

メッカへの巡礼(ハッジ)はイスラム教徒(ムスリム)が一生のうち1度は果たすべき義務とされる。サウジは基本的に観光客を迎え入れていないことから、日本人にはイメージが湧きにくいかもしれないが、中東系をはじめ、ムスリムが多く住む国の航空会社にとってサウジへの航空需要は大切な客源となっている。巡礼団は中東だけでなく、世界最大のムスリム人口を抱えるインドネシアをはじめマレーシアやインド、バングラデシュなどアジア各国、さらに欧州やアフリカからもやって来る。

カタール航空としては、巡礼団の需要が離れたら、ムスリムの多い国々との便を減らす対応に迫られるだろう。たとえばインドネシアの首都・ジャカルタへは現在1日3往復も飛んでいるが、巡礼団がいなければ供給過剰になることは避けられない。

英国の航空業界専門家のひとり、ジョン・ストリックランド氏は「欧州―アジア間の座席供給はダブつきぎみ。それに加え、各社間の競争が価格の下降圧力になっている」と解説、「今回の断交のあおりで、中東への需要の一部が別の会社に流れる可能性が大きい」と述べている。各社が乗り入れ都市や運航便数の見直しを図ることは必至だ。

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