MRJは航空界のゲームチェンジャーになるか プロジェクトは依然として厳しい状況

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パリ航空ショーで公開されたANA塗装のMRJ90(筆者撮影)

「生産が進んでいることを世界の皆さんにお見せしたかった」

6月19〜25日開催のパリ国際航空ショーにおいて、国産初のジェット旅客機となるMRJ90の展示を行った三菱航空機の水谷久和社長は記者会見でこう強調した。

ただ、同機種の開発をめぐっては度重なる設計上の問題などで、これまでに5回も就航時期が延期されている。現状では2020年中頃に営業運航にこぎ着けるとしているが、はたして今後、開発はどのように進展していくのだろうか。現地での取材を基に分析していこう。

型式証明獲得に向けたテストを実施中

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MRJ90は名古屋市の北郊外にある県営名古屋空港の隣接地で組み立てが行われている。

2015年11月に初飛行が実現、その後全部で5機が完成し、うち4機は米国西海岸のワシントン州モーゼルレイクに持ち込み、旅客を乗せて飛ばすための型式証明獲得に向けたテストを実施している。

今回のパリショーでの展示では、主に電装関連のテストを行っている3号機が使われた。機体はMRJの最初の納入先となるANAの塗装に塗り直されたことで、なお一層の注目を浴びる格好となった。

パリでの展示のために、モーゼルレイクから操縦桿を握ったテストパイロットのひとり、マーティン・トラウト氏は「巡航距離が短い機体なので、途中でカナダとアイスランドに立ち寄ったが、ほぼ予定どおり順調にパリまで飛んで来ることができた」と説明。空を飛んでいた時間は12時間程度で、飛行中には引き続き各種のテストも行ったという。

15年以上にわたりさまざまな機体のテストを行った経験を持つトラウト氏は、「機体の形状がよく、操縦もしやすい。この美しい機体に早く日本の皆さんをお乗せしたい」と期待感を改めて示した。ちなみに、同機はパリに15日に到着、飛行展示(デモフライト)はなかったものの、22日朝に多くの記者や関係者が見守る中、ショー会場のルブルジェ空港から米国に向け飛び立った。

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