MRJが挑む「最強ライバル機」との頂上決戦 三菱航空機の営業キーマンに聞く

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11月11日に初めて大空を舞ったMRJ。初飛行を機に新規受注獲得にも期待がかかる
三菱重工業が傘下の三菱航空機を通じて開発を進める、小型ジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)。開発本格着手から7年半を経て、11月11日に国産旅客機としては53年ぶりとなる初飛行をようやく実現した。いよいよ開発作業は終盤となる飛行試験のフェーズに入った。
現在のところ、獲得済みの受注は広義で407機(契約エアラインは日、米など6社)。ただし、半分近くは仮予約分などで、確定受注はまだ223機にとどまる。事業の成功のためには、今後のさらなる受注獲得が必要だ。
果たして、MRJに勝算はあるのか――。週刊東洋経済は11月28日号(24日発売)で『ようやく飛んだMRJの未来』を特集。その番外編としてライバルとの競合や受注活動の手応えについて、MRJの販売現場を率いる三菱航空機の福原裕悟・営業本部営業部長に話を聞いた。

MRJ初飛行の動画はこちら

――2014年8月に日本航空(JAL)が32機の導入を決めて以降、MRJは新規の受注が途絶えています。現在、海外での商談はどういった状況にあるのですか。

もちろん、われわれ営業部隊が世界を飛び回って、精力的なセールスをやっている。MRJの潜在的なお客さん(購入の可能性があるエアライン)は、世界でおよそ300社ぐらい。そのうち、3年内に次の導入機材選定を計画しているエアラインが30社ほどあり、それらの企業と本格的な商談を進めているところだ。

目下の商談は、欧州や中南米がメイン

週刊東洋経済11月28日号(24日発売)。「ここがおかしい!日本の鉄道」『ようやく飛んだMRJの未来』のほか、ワタミ創業者・渡邉美樹議員の独占告白なども(上の画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

地域でいうと、北米での目先の大きな商談がひとまず終わって、今は欧州と中南米、一部アジアでの商談がメイン。欧州はフォッカーなど古い機材を使っているエアラインが多く、そろそろ更新需要の大きな波が来る。中南米も国が地方路線の拡充政策を進めているブラジルを始め、チリやメキシコでも機材の発注計画がある。こうした商談を着実に受注につなげていきたい。

――MRJの獲得済み受注の内訳を見ると、一番の大口契約が米スカイウエストで200機(仮予約分の100機含む)。次いで米トランス・ステーツが100機(同50機含む)と、機数ベースでは米国での受注が全体の8割超を占めています。

米国は地方路線のネットワークが充実していて、世界でもっとも多くのリージョナル機が日々飛んでいる。また、その運航形態も非常に独特。大手エアラインは100席以下のリージョナル機の運航業務を外部に委託しており、大手の便名であっても、実際のオペレーションや整備、機材調達はリージョナル専門の運航受託会社が担っている。

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