三菱重工の好調支える「寄せ集め部門」の凄み 連結営業利益の3割を占める"隠れた柱"に
三菱重工業の社名を聞いて、読者の多くが真っ先に連想するのは火力発電設備や戦車、戦闘機、ロケット、あるいは開発中の小型旅客機MRJといった事業だろう。しかし、普段はあまり話題に上らない、ある部門が業績面でにわかに存在感を増している。機械・設備システム部門だ。
同部門は、産業関連のさまざまな機械や機器、設備の集合体。自動車用のターボチャージャーやカーエアコン、製鉄機械、冷熱機械、工作機械、フォークリフト、油圧・機械、コンプレッサー、エンジン、環境設備、農業機械など、実に15ものビジネスユニットで構成されている。
部門売上高は2014年度実績で1.3兆円に上るが、一番大きなフォークリフト事業(上場会社のニチユ三菱フォークリフト)でも約2600億円。大半は売上高が数百億円と非常に小粒。悪くいえば、中小事業の寄せ集めで、社内では「ミニ重工」部門とも呼ばれている。
部門利益はライバルの全社利益に匹敵
しかし、利益への貢献度は高い。三菱重工は2014年度に過去最高となる2961億円の営業利益をたたき出した。このうち、同部門が稼いだ利益は841億円で、3割近くを占める。ドル箱である大型ガスタービンをはじめとするエネルギー・環境部門(1626億円)には及ばないが、交通・輸送(234億円)、防衛・宇宙(285億円)を遙かにしのぐ。しかも、部門利益の絶対額は2年前に比べて倍増した。
ちなみに、同じ重工大手の昨年度の営業利益は、川崎重工業が872億円、IHIは632億円。つまり、三菱重工の機械・設備システムは、同業大手の全社利益に匹敵する金額を1部門で稼ぎ出すまでになっているのだ。
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