三菱重工の好調支える「寄せ集め部門」の凄み

連結営業利益の3割を占める"隠れた柱"に

その収益柱は、化学プラントなどに使用する特殊な大型コンプレッサー事業、中国を中心に需要が増えている冷熱・空調事業、自動車のエンジン出力を高めるターボチャージャー事業など。特にターボチャージャーは部門を代表する成長分野で、燃費性能向上を目的としたエンジンの小型・軽量化に伴い、売上高、利益とも急拡大が続いている。

とはいえ、ターボなど特定の事業だけでは800億円を超す部門利益は説明できない。数字の裏側には、売上高規模は小さいながら、それぞれ数十億円レベルの利益を出している数多くの小規模事業の存在がある。この数年間、同社が重点的に取り組んできたのもこうした「小さな事業」の地道な収益改善対策だった。

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国内外で数多くの受注を獲得し、ダンボール加工機械は増産に追われている

「一時はどうなることかと案じたが、何とか安定して利益を出せるまでにはなった」と話すのは、三菱重工印刷紙工機械(本社・広島県三原市)の清水雅巳社長。同社は新聞輪転機や紙工機械(ダンボールの製造・印刷・加工機械)を担当する、印刷機械専門の事業会社だ。

2008年のリーマンショック後、商業印刷機械などの需要激減に見舞われ、同社は赤字に転落。一部人員をほかの事業に引き取ってもらうなどリストラを進め、2011年度にようやく赤字を脱出。昨年度は売上高382億円、利益面では3年前の倍となる36億円の営業利益を稼いだ。

商業印刷は主導権をリョービに渡す

こうした収益改善に大きな役割を果たしたのが、2012年に導入された事業評価制度だった。市場の成長性や収益性、財務の健全性などに応じて、本社が各事業のビジネスを「伸長・維持」「(要)変革」「縮小・撤退」の3つに分類し、改善や成長策を求めるというもの。2012年当時、経営改革を推し進める大宮英明社長(現会長)の下、社長室長だった宮永俊一・現社長が中心となって導入したポートフォリオマネジメント手法だ。

印刷機械の部隊に突き付けられた評価は悲惨だった。当時の主力は新聞輪転機、紙工機械と商業印刷機械(カタログなどの印刷機械)の3分野。このうち、輪転機と紙工機械は「変革」、商業印刷機械は「縮小・撤退」に分類され、早急な対応策を求められたのだ。

このままでは事業の存続すら危うくなる――。強い危機感を抱いた印刷機械の事業部隊は、考え抜いた末に大きな決断を下した。

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