「Yahoo!天気アプリ」にZ世代がなぜ殺到? 《盛らないSNS》があぶり出す"緩い承認欲求"の深層

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Yahoo!天気アプリの画面では、「レポートやるために...」「誕生日おめでとう私」「研修なう」など位置情報とひも付けられた日常のつぶやきが地図上に点在している(写真:筆者撮影)

累計6600万ダウンロードを誇る国民的アプリ「Yahoo!天気」に、この夏、思わぬ異変が起きている。2025年2月に追加された「みんなの投稿」機能が、本来の天気情報の共有という目的を大きく逸脱し、若者を中心とした雑談プラットフォームと化しているのだ。

「お腹すいた」「3限眠い」「カレーしか勝たん」――。LINEヤフーが提供する同アプリの投稿欄には、天気とはおよそ無関係な日常のつぶやきがあふれ返っている。

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「天気予報アプリがSNSに?」想定外のバズ現象

当初は現在地の天候情報を共有し、急な豪雨や災害時に役立てる防災目的で設計された機能であった。ところが、2025年6月に過去投稿を時系列表示できるアップデートが行われた後、状況が一変した。

完全匿名で投稿でき、拡散機能やいいね数の表示もないシンプルな設計が奏功し、「承認欲求に疲れた」Z世代を中心に爆発的な支持を獲得。SNS上では「次に来るSNS」「理想のSNS」とまで評される現象に発展している。

この予想外の展開について、LINEヤフー広報は「本機能は、天気や季節の変化を楽しむために設けたものであり、新しいユーザーにご利用いただいていることをありがたく思っている。他方、本来の用途と異なる投稿において困惑する方もいる」とコメント。運営側も想定外の事態に対応を迫られている。

天気アプリがなぜ若者の心をつかんだのか。そして、その背景に潜むリスクとは何か。デジタルコミュニケーションの新潮流を読み解く。

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