「単純だが試すのは恐ろしい実験」をしていた…。3COINSがショッピングモールでなぜか"増殖"している理由

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「3COINS」の店舗(写真:今井康一)

近頃、ショッピングモールのデベロッパーの、入居してほしいテナントNO.1というと、無印良品、ユニクロ、GUなどを抑えて、3COINS(以下、スリコ)ということになるのだそうだ。

いわずと知れた人気の300円ショップで、デベロッパー側からは、商品ジャンルが広くて顧客層が幅広い、主婦層にも強い、と評価が高いようである。

実際、売上高、店舗数の推移をみても、右肩上がりで増えている。スリコは上場アパレルのパルグループホールディングスの雑貨部門の一業態であるため、開示情報は限られているのだが、売り上げを伸ばしつつ、収益も拡大していることはうかがえる。

なぜ、そんなに勢いがあるのか、といえば、この会社が均一価格ショップのあり方を変え、実質的に価格の縛りを外した「コスパが高い雑貨ショップ」として再定義することに成功したからだろう。

「単純だが試すのは恐ろしい実験」をしたスリコ

スリコは、300円ショップとはいうものの、500円、1000円を超える商品もたくさんあることはご存じのとおり。価格に縛られずコスパのよい便利グッズを、「くすみカラー」のシンプルな外観で提供してくれることで知られる。

均一価格ショップは、その価格に縛られた商品開発をすることが暗黙のルールとなっており、均一価格を上回る商品を店に並べることは、消費者への裏切りとみなされる恐れがあった。

しかし、実際には消費者はコスパを見極めたうえで、付加価値が明確に上回っていれば受け入れてくれるのであり、100円、300円という価格を求めているわけではない。この単純だが試すのは恐ろしい実験を、積極的に突破したスリコは、コスパ雑貨の新たな世界を拓くことに成功した。

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