「単純だが試すのは恐ろしい実験」をしていた…。3COINSがショッピングモールでなぜか"増殖"している理由

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小売ビジネス
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スリコもショッピングモールの顧客層との顧客接点を起点に、斬新な商品開発で成長を加速してはいるが、その出店立地の性格上、出店スピードをさらに加速することが難しく、今後の成長余地もダイソーに追いつくことは難しい。

その理由は次の図をみれば一目瞭然だ。スリコの出店立地は、駅ビル37%、イオンモール28%、ららぽーとなどの郊外型ショッピングモールで29%など、その店舗は都会では駅ビル、郊外では大型ショッピングモールに集中しており、それも地域の有力館に偏っている。

要するに、このクラスの館は限られた数しかないのであり、そこを変えないのなら出店余地はかなり限定的だ。これに対して、ダイソーなど100均出身企業は、大型モールにも出るが、食品スーパーを核店舗とした生活必需品を中心とした商業施設や路面店にも出店することができる(そちらがむしろ主戦場といえる)。

無印良品の出店状況から考えるスリコの未来

そんなことは百も承知のスリコは、近年では品揃えを拡大し、店舗の大型化で売り上げの増加幅を広げようとしており、直近期ではコロナ前と比べて、店舗あたり売り上げは1.6倍に増えている。

しかし、出店余地が拡大しない限りは、これ以上の成長加速は見込めない。生活必需品向け商業施設にも拡大していくことが求められるのだが、どの範疇まで広げることができるのかは、実績もないのでまだわからない。

ただ、均一ショップより上の価格帯であるMUJIの出店状況をみると、スリコの今後も想像できる。これまではショッピングモールの定番とされていたMUJIは、最近では出店余地を求めて、総合スーパー、食品スーパー、生協などが核店舗の生活必需品モールにかなり出店している。

こうした生活必需品型の採算がどうなのかは定かではないが、少なくともMUJIよりは安い価格帯で女性消費者の共感もすでに高いスリコは、この立地を挑戦することになるだろう。近いうち、我々の住んでいる地域にもスリコがやってくることになりそうだ。

中井 彰人 流通アナリスト

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なかい あきひと / Akihito Nakai

みずほ銀行産業調査部で小売・流通アナリストに12年間従事。2016年同行を退職後、中小企業診断士として独立、開業。同時に、ベンチャー支援活動、地方創生支援活動を開始。並行して流通関連での執筆活動を本格化し、TV出演、新聞、雑誌などへの寄稿、講演活動などを実施中。2020年よりYahoo!ニュース公式コメンテーター、2022年Yahoo!ニュースエキスパートを兼務。主な著書「図解即戦力 小売業界」(技術評論社)、「小売ビジネス」(クロスメディア・パブリッシング)。現在、東洋経済オンライン、ダイヤモンドDCSオンライン、ITmediaビジネスオンライン、ビジネス+IT、プレジデントオンライン、新潮フォーサイト、などで執筆、連載中。

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