「単純だが試すのは恐ろしい実験」をしていた…。3COINSがショッピングモールでなぜか"増殖"している理由

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

多くの均一価格ショップが、路面店やスーパー、ドラッグストアなどとの共同出店で成長してきたのと異なり、スリコが大型ショッピングモール立地のアパレル出自であったことは、均一価格ショップを価格の縛りから解放するキッカケとなっている。

100円という厳しい価格キャップを背負った100均は、かなり前から海外でのコスト上昇による原材料価格の高騰に対応し続けてきた経緯があり、いつかは100円というキャップを外さねば事業継続ができないという危機感を持っていた。

しかし、生活必需品購入シーンで利用される100均などは、価格帯を上げることで消費者に忌避されることへの恐れから踏み切れないという事情があった。その点、ショッピングモールの購買シーンでは、他のテナントの価格帯と比べれば相対的に安いし、価格上昇への抵抗感も薄いといえる。モール育ちのスリコだからこそ、均一価格の軛を突破できたのであろう。

商品開発力の背景にあるもの

均一価格ショップの価格帯を多様化したスリコは、その商品開発力でも女性社員が9割以上を占めるというアパレル企業ならではの特質を発揮している。それは商品開発でも、社外へのSNS発信においても、女性社員が中心となっており、女性顧客層との共感を醸成していることにもあらわれる。

100均の商品開発も、メーカー、問屋等の膨大な数の提案の中から選ばれた商品であることで知られるが、顧客とのコミュニケーションという面においてはスリコに一歩譲るところがありそうだ。

社員からなるインフルエンサーが推しの商品をアピールし、その反応を踏まえながら新商品の開発もされていく、それも顧客層と同じ感覚の女性社員が担っている。顧客と店との共感によって生み出される商品群は、300円でなくても付加価値にあった価格設定で、許容されるのであろう。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事