「単純だが試すのは恐ろしい実験」をしていた…。3COINSがショッピングモールでなぜか"増殖"している理由

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ただ、この取り組みを成功させたのは、彼らの戦略的な成功というよりは、環境変化という外部要因が大きかったかもしれない。それは、コロナ禍と、それによって起こった「巣ごもり需要」という特殊な環境である。コロナ禍によって外出制限がされたとき、消費者の多くが家で快適にすごすためにお金を使った。

このとき、ホームセンターや100円ショップの雑貨類を用いて、家を快適にしようというちょっとしたブームが起き、アパレル、化粧品の販売が低迷する中、雑貨類の売り上げは伸びた。このとき、スリコが「100均以上、無印未満」の価格帯で、コスパの高い店として、消費者に認識されたのである。

コロナ禍で苦境のショッピングモールに出店

加えて、スリコが世に出る追い風となったのは、コロナ禍におけるショッピングモール=「館」の苦境があった。大型商業施設は厳しい営業制限を受けていたし、外出機会も減ったことでアパレル各社は大きなダメージを受け、館のアパレルテナントは次々と閉店を余儀なくされた。

アパレル企業も大変なのだが、館のほうもテナントが「COMING SOON」の空間に替わり、後継テナントに苦慮していた。そのとき、注目されたのがアパレル企業パルのスリコであり、デベロッパーの人脈を通じて、後継テナントとしてお声がかかった。

前述の図を見てもらうとわかるが、スリコが大きく成長軌道に乗ったのが、コロナ禍が始まった翌年2021年からの店舗数の増加にあることがわかるはずだ。巣ごもりで勢いに乗るスリコは、コロナ禍で出たショッピングモールの空き場所を埋めることで、館に感謝されながら一気に成長を加速したのである。

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