川崎重工は「世界のヘリメーカー」になれるか

UH-Xが日本のヘリ産業の将来を決める

陸上自衛隊の現用の小型汎用ヘリであるUH-1J

陸上自衛隊は現用の小型汎用ヘリ、UH-1Jの後継として「UH-X(次期新多用途ヘリコプター)」を選定する見通しだ。早ければ7月中には開発される機種が決定され、2016年度の防衛予算で開発費が計上される予定だ。

このUH-Xにどのような機種を採用するかによって、今後の日本のヘリ産業の将来を決めることになるかもしれない。それは日本の航空産業の将来にも大きな影響を与えることが予想される。採用機種のいかんによっては日本のヘリ産業は自滅する可能性も否定できない。それほど重要な選定だ。いったいどういうことなのか。詳細を見ていこう。

日本にはヘリメーカーが3社ある

我が国には川崎重工、三菱重工、富士重工のヘリコプターの機体メーカーがあり、ヘリエンジンメーカーとしては川崎重工、三菱重工が存在する。だが我が国に「ヘリ産業」が存在するかというと極めて微妙だ。それはヘリメーカーがほとんど“国営企業化”しており、民間企業として事業、ビジネスを営んでいるとは言いがたいからだ。

防衛を除く国内ヘリ市場のシェア。エアバスヘリが半分のシェアを占める(エアバスヘリのシェアにはBK117含む、資料出所:エアバスヘリ)

その理由は、日本の「ヘリ産業」がほぼ防衛省の需要に頼って存在しているためだ。

例外は川重がエアバスヘリコプター(旧ユーロコプター)と共同生産しているBK117(エアバスヘリ名はH-145、旧名EC145)、三菱重工が下請けしているシコルスキーのS-92の一部のコンポーネントくらい。それ以外はすべて防衛省向けであり、世界第3位ともいわれる国内市場では民間はもちろんのこと、海上保安庁、警察、消防、自治体以外の国内シェアはゼロである。海外市場もゼロである。これで「産業」といえるだろうか。

日本と同じ敗戦国だったドイツのMBB(メッサーシュミット・ベルコウ・ブローム)はフランスのアエロスパシアル社のヘリ部門と合併して現在のエアバスヘリになり、売り上げ世界一のメーカーになっている。同じくイタリアのアグスタ社も当初はベル社のライセンス品の生産から始まり、英国のウエストランド社を買収し、アグスタ・ウエストランド社となり、これは世界第3位の売り上げ規模のヘリメーカーに成長している。

それと比較すると、日本のヘリメーカーは極めて規模が小さい。

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