
日本・イタリア・イギリス3カ国が共同で開発する次期戦闘機の10分の1サイズの模型(写真:高橋浩祐)
日本とイギリス、イタリアの3カ国が2035年までの配備開始を目指す次期戦闘機共同開発が、本格軌道に乗っている。2025年5月21~23日に千葉・幕張メッセで開かれた日本最大の防衛装備品の国際展示会「DSEI Japan 2025」では次期戦闘機の10分の1サイズの模型が披露され、来場者の注目を浴びた。
次期戦闘機開発計画は「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」と呼ばれる。日本航空宇宙工業会と三菱重工業が2024年7月に設立した日本航空機産業振興(JAIEC)が2025年夏、イギリス防衛企業最大手のBAEシステムズとイタリアの防衛企業最大手レオナルドの2社とともに、イギリスでGCAPの共同事業体となる合弁会社を設立する予定だ。
日本だけ防衛最大手の三菱重工ではなく、JAIECが日本代表としてこの合弁会社の設立に関わる理由は、「幅広い国内企業参画による日本一丸体制で臨むため」(JAIEC関係者)という。
GCAPをめぐっては、サウジアラビアがパートナー国として参画することを検討しているほか、インドやオーストラリア、カナダも参加に関心を示しているとされる。
GCAPが国際的な注目を浴びる中、レオナルドの上級指揮技術者兼戦略顧問のエドアルド・デ・サント氏は2025年5月22日、DSEI Japanの会場で筆者の単独インタビューに応じた。同氏はレオナルドのGCAPで指導的立場にある。
同氏は「次期戦闘機はシステム・オブ・システムズ(SoS)だ」と強調し、艦艇や人工衛星、地上局などあらゆるものとネットワーキングを構築すると指摘した。
また、同氏は「政府の要請があれば、サウジとの協業の方法を考える」とし、サウジアラビアの参画にオープンな姿勢を示した。ただし、同国が技術力を向上する必要があるため、即時ではなく数年後の参画を見据えていた。
「次期戦闘機は単なる戦闘機ではない」
――まず3カ国が共同開発中の次期戦闘機のGCAPについて、日本の一般の人にわかりやすく説明してくれませんか。
なるべくシンプルに説明します。これは第6世代戦闘機という戦闘機の進化そのものです。第4世代戦闘機や第5世代戦闘機といったこれまでの古典的な飛行をする戦闘機とはまったく違います。単なる戦闘機ではありません。
――第6世代戦闘機の特徴として、人工衛星や無人機などとのネットワーク機能が強いと聞いています。
そうです。第6世代戦闘機は、戦闘機機能だけではなく「システム・オブ・システムズ」(複数の独立したシステムを連携させるシステム)です。戦闘機はそのシステムの中心に位置しますが、脅威に対処するため、あらゆるプラットフォームと連携します。
例えば艦艇や人工衛星、人間、地上局などとネットワーキングを構築します。
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