海洋防衛およびセキュリティの総合展示会、「MAST ASIA 2015」が横浜市のパシフィコ横浜で5月13~15日に開催された。この種の国際軍事見本市が初めて我が国で開催された意義は大きい。これまで我が国では毎年10月に開催されている危機管理産業展に併設される形でテロ対策特別装備展が開催されてきたが、どちらかと言えばセキュリティよりであり、本格的な国際軍事見本市が開催されたのはMASTが初めてだ。
MASTはイギリスの民間企業、マスト・コミュニケーションが主催する展示会で、これまでに世界各国で開催されている。今回のイベントでは経産省や防衛省も後押しをしていたが、今後の武器輸出、共同開発などを念頭においてのことだろう。
オーストラリア、イギリスは国として出展
展示会場ではアメリカ、英国、オーストラリア、スウェーデンなど外国、そして国内から125の企業および団体などが出展した。特にオーストラリアや英国はナショナルパビリオンを出展して力を入れていた。オーストラリアは今後の潜水艦の共同開発、英国は空対空ミサイルへの日本の参加が予定されており、両国とも今後、我が国との防衛装備協力に強い期待を抱いていることが伺える。英米など参加国からは国防省や軍の高官らも訪れ、高いレベルの交流が直接、インフォーマルな形でできることはこの種の見本市のメリットだ。
初日は中谷元防衛大臣も訪れて日本企業のブースなどを視察した。またセミナーではアメリカ海軍で装備の開発やエンジニアリングなどを担当するNAVSEA戦闘センターをはじめとする各国海軍の研究機関やメーカーなどの担当者が、潜水艦や無人潜水艇、無人洋上艇、洋上哨戒航空機のトレンドなどを説明した。また我が国の防衛省や経済産業省の担当もセミナーに登壇し、武器輸出に関してかなり突っ込んだ発言も行なわれた。
規模こそ小さかったが、このような本格的な国際的な軍事見本市が国内で開催される意義は大きい。最大のメリットは自衛隊の幹部(将校)ら日本のメーカー関係者などが直接内外、特に外国メーカーや軍隊の関係者から直接話を聞けることだ。防衛省は近年諸外国で開催される軍事見本市に派遣する人間を増やす傾向にあるが、技本、各幕などの組織からそれぞれ数名に過ぎない。幹部が直接外国のメーカーの担当者に話を聞ける機会はいまだ極めて少ない。
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