オーストラリアは日本の潜水艦を買うのか

外交問題というより日本国内に横たわる課題

パシフィコ横浜で開催された「MAST Asia 2015」に出展していた、オーストラリアブース

政府は5月18日に開催した国家安全保障会議で、オーストラリアへの技術情報移転を認めることを決定した。オーストラリア政府が同国の将来潜水艦プログラムにおいて、日本との共同開発・生産を検討していることを受けてのことだ。

情報移転の対象となる潜水艦については日本側は明らかにしていない。しかし、オーストラリア国防省の報道官は、海上自衛隊のそうりゅう型の技術情報を要求したことを認めている。

技術情報の移転にあたっては、防衛装備移転三原則で情報の適性管理が求められているが、今回移転される技術情報は、潜水艦の全部または一部の建造を可能とするものではなく、オーストラリア政府内での検討に用いられる主要な寸法や性能情報などに限定されており、検討以外の目的への使用や、第三国への技術情報の移転などの可能性がなく、情報の適性管理が行われると判断されて今回の決定に至った。

この決定により、日本がオーストラリアの将来潜水艦の選定コンペに参加する道が開けたことになる。

日本はディーゼルエンジンに強い

オーストラリアの将来潜水艦の選定コンペには、フランスとドイツも技術情報の提供をオーストラリア政府から求められている。ここに米国やイギリスの名がないことを、不思議に思われる方もおられることだろう。米国は1950年代、イギリスは1960年代から攻撃型潜水艦、つまり敵の潜水艦や水上艦艇を攻撃する潜水艦の動力を原子力推進に切り替えており、オーストラリア政府が求めている、ディーゼルエンジンで推進する通常動力型潜水艦を開発・建造する能力を失っている。

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