「陸上総隊司令部」を新設するだけでは問題だ 肥大化する自衛隊の上部組織

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陸上自衛隊の朝霞駐屯地。広報センターの展示車両が並べられている(写真:クロ/PIXTA)

防衛省は5月15日、新組織を作る方針を明らかにした。組織の名前は、陸上自衛隊の指揮系統を一元化する「陸上総隊司令部」。2017年度をめどに数百人規模で朝霞駐屯地に創設するという。

これは新しい高級司令部である。現在は陸上幕僚監部が北部、東北、東部、中部、西部の5個方面総監部を指揮していたが、その間に総隊を挟むことで、陸幕-総隊-方面(5個)といった系統に作り変えるというのだ。

指揮系統の構成については、陸自がやりやすいようにすればよい。作戦関連の仕事について、行政管理の機能が強い陸幕から専従司令部の総隊に落とすのは悪い話でもない。

だが、「スクラップ&ビルドの原則」はどうなっているのだろうか、との疑問が沸いてくる。

自衛隊のポスト数には制約がない

スクラップ&ビルドの原則とは、行政組織の肥大化を防ぐための原則である。役所が新たに一つの部署を作るなら、不要度が高い同格部署一つを廃止する、というものだ。

この行政組織の増加防止は法律で決まったものではない。だが、公務員数の上限を決める総定員法と、行政機関の官房・局の上限を97とする国家行政組織法から導出されたものである。

官庁組織としての防衛省はこの縛りに掛かっているが、命令系統である陸海空他の自衛隊組織に制約は課されていない。自衛隊員数(ほぼ自衛官で構成)には上限があるが、組織とポストには上限はない状態にある。

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