MRJが挑む「最強ライバル機」との頂上決戦 三菱航空機の営業キーマンに聞く

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スカイウェストやトランス・ステーツはそうした運航受託会社の主要な企業で、中でもスカイウェストはデルタやユナイテッド、USエアウェイズなどから運航を任されている業界の最大手。同社が運航しているリージョナル機はおよそ700機、トランス・ステーツにしても約200機に上り、2社から大口のMRJ発注を得ることができた。米国の他のリージョナル受託運航会社にもセールスしているが、こちらは機材選定の時期がしばらく先になる。

――米国以外では100機単位の大口契約はありえない?

6月のパリエアショーで、MRJの操縦システムを担当する米企業幹部と握手する福原営業部長(右)。2000年代前半に構想検討が始まった時からMRJに関わり続けている

ボーイングやエアバスが手掛けている100席以上の機体と違って、(市場規模が限られる)リージョナル機の商談は多くて30機、小さければ5機ぐらいのロットが世界の常識。今、交渉中の欧州や中南米にしてもそう。100機単位の契約は米国に限った話で、他の地域では、各エアラインから10~30機単位の受注をどれだけ積み上げられるかの勝負になる。

今、われわれが意識しているのは、とにかくオペレーターの数、つまりカスタマー(顧客エアライン)の数を1社でも多く増やすこと。より多くのお客さんに導入してもらうことが、本当の意味でのMRJの成功につながると考えている。世界中で数多くの顧客を獲得できれば、それが事業を永続的に続けていくうえでの大事な基盤になる。

飛行試験によって営業の説得力が増す

――初飛行の成功は、受注活動にどんな影響を及ぼしますか。

確かに初飛行は機体開発における大きな節目だが、お客さんからすると、飛行機なんだから飛ぶのは当たり前だよねと(笑)。「飛んだからMRJを発注しよう」なんていうお客さんはまずいない。

しかし、MRJの受注活動を考えた時に、飛行試験が始まったことはすごく重要。MRJは高い燃費・環境性能を謳ってきたが、中には半信半疑だったお客さんもいる。今までは、それを証明するすべもなかった。飛行試験がある程度進めば、実際の飛行データによって性能を示せるので、営業活動での説得力が格段に増す。お客さんも実際の飛行データを早く見たがっている。

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