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成功するための努力は、なぜムダなのか 古くて新しい「原因と結果の法則」

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  • 中里 基 企業再生ファンド勤務 ターンアラウンドマネージャー
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それでは、そういうノウハウ化の取り組みがすべて無駄なのかというと、必ずしもそういうわけではありません。

たとえば野球でいえば、ヒットを絶対に打てない型というのはあるので、そういう「確実に失敗すること」はやらないというのがひとつです。「確実に失敗すること」は、「確実に成功する」こととは違って再現性があります。成功はいろいろな要素が積み上がらないとうまくいきませんが、失敗はたったひとつの要素がこけても起こりうるからです。

「成功する」と「失敗しない」はまったく違う

もうひとつの意味のある取り組みは、打席を増やすということです。要するに、ヒットを確実に打つのは、繰り返し述べてきたように再現性がありませんから、そこを狙うのはやめます。つまり打率を上げるのはあきらめます。結局、ヒットの数を増やすことが大事で、そのためには打率を上げるか打数を増やすかです。打率は低くてもたくさん打席に立てば安打数も増えます。ビジネスの成功は安打数であり打率ではありません。そこは野球とは違います。

要するに「成功する」のと「失敗しない」のはまったく違うということです。今まで述べてきたように、成功の原因はいろいろあってよくわかりませんが、失敗の原因は必ず絞り込めます。複雑な因果関係を解きほぐして意味のあるのは、成功よりも失敗のほうがずっと役に立つはずです。

分析した結果、成功することはできなくても、失敗する可能性を少なくすることはできる。そのうえでなるべく多く打席に立つべくチャレンジを繰り返す。そこで失敗を数多く繰り返したとしても、その原因を飽きずに粘り強く執念深く突き詰めることで、結果的に成功確率を上げることができる。

つまるところ、因果関係という論理で始まり、最終的に精神論に帰結するわけで、それが因果関係の本質というのも皮肉なようで、でも、一方で少しだけ小気味よさも残ります。

※ 本文は筆者の個人的見解であり所属する組織・団体を代表するものではありません。

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