「楽天飛行機」は買い物やカジノを楽しめる?

「手段のビジネス」が「目的のビジネス」へ

7月1日の記者発表会での三木谷浩史会長兼社長(撮影:尾形文繁)

6月26日の東洋経済オンラインのスクープから時を待たず、LCCのエアアジアジャパンに楽天が出資(18%)を決めたというニュースが耳目を賑わしました。18%という出資比率で何ができるかと言うと微妙ではありますが、楽天がこのような形で航空業界に参入するということに意義を感じています。

航空業界に限らず、鉄道、バス、タクシーもそうですが、運輸ビジネスに共通する根本的な顧客ニーズは「移動する」ということ。移動は基本的には手段であり、移動したその先で「○○をする」ことが目的です。あまり移動自体が目的になることはありません。だとすると運輸ビジネスの価値は、突き詰めると早いか安いかに答えることにあります。

安さ以外の価値とは?

しかし、早い、安いを追い求めるのは容易ではありません。運輸は常に物理的な制約を受けるもので、速くするといっても限度があります。私はバスとタクシーの再生を比較的長くやった経験がありますが、いずれも交通渋滞があり信号待ちがあり法定速度があります。速く着きたいといっても限度があります。そうなるとその先にあるのは価格競争です。運輸事業の中では、比較的規制が緩めの貸切バス事業と航空事業は常に激しい価格競争の中にあります。

そんな中で楽天は、運輸ビジネスという制約条件だらけの環境の中全く別の切り口で、具体的には利用体験そのものに、価値を注入しようとしているように見えます。つまりスピードを速くすることも値段を安くすることもなく、一定の移動時間も所与のものとして、それでもチャリンとオカネを落とさせるサービスです。

楽天であれば、いろいろなサービスメニューを考えられそうです。機内で楽天市場でのショッピングを特別価格で楽しめる、機内のモニターを利用してオンラインカジノを楽しめる、といったサービスのあり方が考えられるのではないでしょうか。規制との兼ね合いがありますが、移動という手段自体に、一定度の目的(付加価値)に変えられる可能性があるわけです。

私も過去のコンサルティングや企業再生実務の経験の中で、運輸事業のテコ入れに取り組むたびにこういった手段の目的化がどうにかできないものかと、試行錯誤を何度も繰り返してきました。しかし自分の実力不足をさらけ出すようで恥ずかしいのですが、上手く行ったことがありません。

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