魂の事業計画とはどうあるべきか

「手触り感」に尽きるということ

 戦略コンサルタントを経て、現在、投資ファンドで地方の中小企業の再建を手掛ける著者が、企業再生のリアルな日常を描く。「事業の収益構造」といった堅い話から、 「どのように社員のやる気をかき立てるのか?」といった泥臭い話まで、論理と感情を織り交ぜたストーリーを描いていく。

行動派と計画派は矛盾しない

さて、前回に引き続き、今回も事業計画に魂を入れることについて考えていきます。なんだか「東洋経済オンライン」というより『Think!』っぽいテーマで恐縮ですが、今回も硬派です。

前回は費用構造を中心に考えてきました。事業計画は利益計画とも言い換えられますが、利益は費用と売り上げからなります。費用は前回考えたので、今回は売り上げについて深めていきます。

ところで内容に入る前に、この手の「事業計画の作り方」のような論を立てると、そもそも計画を作ることなんて意味があるのか、とか自己満足じゃないか、とか数字は動いた後に自然とついてくるんだよ、とかの意見もよく聞きます。実際に作ろうとしている局面で指摘をされたことも何度もあります。カチンと来るときもありますが、でも指摘の中身はそれぞれもっともな話だと思います。

ただ、そういった「行動」派に対し、これから述べる「計画」派は、そもそも矛盾しません。行動と計画は別の話なので、どちらかをきちんとやるからどちらかができないというわけではありません。両方やればいいだけの話です。

平たく言えば、事業計画の効用を最大限に利用しつつ、でも考えても仕方ない部分は思い切って捨象して、その範囲の中でスピード感をもってPDCAサイクルを回していく。

そもそも事業なんて、やってみないと何が起こるかまったく予想がつかないわけで、だからといってそこですぐ動けと開き直るのではなく、その再現性を少しでも高める努力はするべきです。

確かに、苦労して計画を作っても、その策定自体が自己目的化してそのままお蔵入りする事業計画もあります。あまり根拠なく作り始めて、お手盛りで最終的に帳尻を合わせる事業計画もあります。でもそういったイケてない例を挙げていけばきりがないわけで、そんな極端な例を拾い上げて、その例を根拠に全体を批判するというのは、一見、論理的なようでいてまったく論理的ではありません。いわゆるワイドショー的マスメディアと一緒で、派手な一例を全体のごとくズームアップする悪しき態度だと思います。

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