計画のキモとは
さて、ここから本題の売り上げ計画の中身に入ります。
売り上げ計画は、まず自らの能動的な活動、すなわち施策を抜きにした自然体での売り上げを考えることから始めます。施策による効果は後で足し込みます。自然体の前提条件と施策の前提条件を同時に考え始めると、いざ実行局面に入り実態と計画に乖離が起きたとき、その原因が外部環境なのか自力努力なのかがはっきりせずに、ぐちゃぐちゃになります。したがって施策による効果は明確に分けて考えます。
次は売り上げをどの単位で考えるかです。売り上げ計画を考えるときに、多くの場合でやりがちなのは、いきなり単価と個数で分け始めるか、いきなり過去のトレンドを引っ張るか、あるいはその両方だと思います。ですが、まずその前にどの単位(セグメントといいます)で売り上げを考えるかが大事です。
直感的に当たり前かもしれません。要は複数の事業をやっていれば、きちんと事業ごとに分けましょうという単純な話です。
なお、なぜ事業ごとに分けるかというと、ビジネスモデルと顧客が異なるからです。この2つが異なると、売り上げの分解の仕方も前提条件も異なりますし、顧客のイメージも買い方も想像つきません。したがって計画が作れません。繰り返しますが、実行局面で計画と実際の乖離が生じたときに、その原因がわかりません。
つまるところ計画のキモとは、実行局面の計画と実態の乖離原因の把握にあります。実行し始めて、計画と実態が乖離したら、その原因を計画に立ち戻って考える。いきなり行動していたら失敗も成功も再現性がありません。
PDCAサイクルは事業の本質ですが、そもそもPがしっかりしていないとCもAも絶対できません。再現性がないということは、改善も成長もありません。言い換えれば事業計画を作る意味は、PDCAサイクルを回すためにあります。
売り上げの単位を考えたら、次に売り上げを分解していくわけですが、分解の仕方はそれぞれの要素がコントロール可能で、かつ独立したものである必要があります。単価と個数とか、店舗当たり売り上げと店舗数とかに分けることが多いですが、機械的に分解していくのではなく、その条件を満たしているかはきちんと考えます。
たとえば100円ショップの売り上げ。これを単価と個数で分解してもあまり意味がありません。単価はすべて100円だから、結局、個数の動きと売り上げの動きが連動して、分解する意味がないからです。また、会社のポリシーとして単価を変えられない(100円ショップなので100円以外のものを事実上売れない)のであれば、単価と個数に分解しても仕方ありません。もう所与ですから。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら