「手触り感」を持った事業計画とは? 魂の事業計画を作るために(前編)

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「アベノミクス第3の矢の『成長戦略』が今ひとつ伸び悩んでいる」

「成長戦略は掛け声だけは立派だが、抽象的で要領を得ない」

よく聞くフレーズです。同時に1年以上前からずっと聞かされているフレーズでもあります。第1の矢、第2の矢に同じような批判があってよいものですが、その彼我の差は圧倒的です。いったいなぜでしょうか。

よくある解説のひとつは、第1の矢、第2の矢と比較し、「(民間投資を喚起する)成長戦略」に対する取り組みそのもののイメージが、湧きにくいというものです。したがって景気がよくなり企業が成長していたとしても、成長戦略とは何で、そのために何をやったのかのイメージが湧かない以上、それらの因果関係もよくわかりません。

確かにそのとおりです。でもそれに加え、私はもうひとつ第3の矢を決定的に難しくさせる理由があると思います。

私が第3の矢の難しさを決定的に感じるのは、第1・第2の矢である金融・財政政策は政府自らが政策としてやるかやらないかの「自分のイシュー(課題)」だったのに対し、第3の矢、すなわち成長戦略は民間企業が成長する「相手のイシュー(課題)」であることです。

要するに自分が主語なのか、相手が主語なのかの違いです。「自分か」「相手か」。このふたつは決定的に違います。

論理的思考と、ぶれない意志

自分が主語のイシューは、要するに自分で決められるということです。換言すると、やるかやらないかで決まるということです。強い意志とその先の進捗管理や論点整理ができれば、必ず実現できます。主語はつねに自分であるとはそういう意味です。枝葉を端折って思い切って言い切れば、アベノミクスの第1の矢、第2の矢がそれに当たります。

一方で第3の矢は相手のイシューです。やると決めても、成長するのは企業であり、その成長に貢献するのは顧客としての企業や個人です。これはコントロールできるものではありません。モノやサービスを、買うかどうか決めるのは政府ではありません。主語はつねに企業でありその顧客です。これは相手のイシューなので自分では決められません。

自分で決められる領域と相手が決める(=自分で決められない)領域。企業活動でもこの両者の違いを正確に理解し、それらにあったアプローチをとることが決定的に重要だと思います。

今回のテーマである事業計画の筋のよさや実現性も、自分のイシューと相手のイシューをきちんと切り分け作っているかがとても重要です。

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