三越伊勢丹HDの決算で見えた課題 消費増税後も基幹店は健闘だが・・・
三越伊勢丹ホールディングス(HD)が5月12日に発表した2014年3月期決算は、ラグジュアリーブランドや宝飾時計など高額品が活況を呈し、消費増税前の駆込み需要を受けて百貨店事業が好調だった。営業利益は前期比約3割増の346億円となった。
15年3月期は日本郵政との合弁事業に移した通販事業の影響(約260億円の減収要因)を除くと、売上高がほぼ横ばいの見通し。自主規格品の拡充や仕入れ構造改革を進め、営業利益は350億円を見込む。
消費増税後の反動減が予想される中、15年3月期に前期並みを維持するならば健闘といえるだろう。HD傘下の三越伊勢丹単独では、基幹3店(伊勢丹新宿店、日本橋三越本店、銀座三越)合計の売上げはほぼ横ばいを計画する。増税直前の3月が24.2%(全店ベース)と高水準だったことから、4月の反動減が心配されたが、結果は7.9%減と減収幅は想定を下回った模様だ。
最終減益に2つの要因
一方、最終利益は200億円と前期比5.5%の減益となる見通し。これは営業外に計上する持分法適用会社の投資損益が前期51億円の黒字から赤字になることが大きい。
要因は2つあり、1つ前期の持分法投資利益の大半を稼ぎ出したとみられる台湾の新光三越に大規模な投資案件があるため。「詳細は相手先があるので言えない」(三越伊勢丹ホールディングスの杉江俊彦常務執行役・経営戦略本部長)というが、中国国内への大型出店を予定しているようだ。
もう1つは、JR西日本が6割、三越伊勢丹HDが4割出資し、JR大阪三越伊勢丹の不振から債務超過(13年3月期で99億円)に陥っているジェイアール西日本伊勢丹(関連記事「三越伊勢丹、JR西日本の暗中模索」)の影響だ。今期は7月28日から地下1階から9階までのフロアの改装工事に着工する予定で、「半年程度、ほとんどのフロアを閉めないといけない」(杉江常務)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら