三越伊勢丹HDの決算で見えた課題 消費増税後も基幹店は健闘だが・・・

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開業当初のJR大阪三越伊勢丹。改装でどう生まれ変わるか(撮影:ヒラオカスタジオ)

今期はこの改装を主因としてJR大阪三越伊勢丹の店舗は175億円の減収(14年3期売上高は305億円)になる見込み。ジェイアール西日伊勢丹としても減収で固定費を補えず、除却なども発生するため、赤字となる公算が高い。JR西日本が5月2日に公表した決算資料によれば、収支見通しとしてジェイアール西日本伊勢丹は、「2015年度での黒字化」としている。

杉江常務は「持分法投資損益の悪化はあくまで一時的なもの。大阪店はJR西日本とハイピッチで店作りを進めている。以前発表した通り、専門店と百貨店を融合した全く新しい店になり、これができると劇的に利益改善が進む」を自信を見せる。改装後の開業は15年春を予定しており、三越伊勢丹HDの収益に貢献する会社として生まれ変わるかが注目される。

地方店の一部はなお苦戦

 最終減益の要因が一時的だとしても、今回の決算では三越伊勢丹HDの課題も鮮明になった。1つは、地方店の改善が道半ばであること。三越伊勢丹HDの大西洋社長は、14年3月期に「地方店全店を黒字化させたい」と語っていた。確かに、名古屋、広島の子会社などは改善したが、松山三越は営業損失が続く。「狭い街の中で競合が激しく、なかなか利益が出てこない。長年、投資もできていなかった。地域店全体の問題でもあるが、特に松山が競合のあおりを受けて一番厳しい」(杉江常務)。

今後、地方店のてこ入れとして、松戸店で実施した専門店の導入など、さまざまな対応策が練られているようだ。しかし、「(松戸店は)新しい店を作ったつもりだったが、マーケットにとっては新しいものではなかった」(大西社長)と反省の弁も聞かれる。

また、婦人服、服飾雑貨の専門店として50店弱(売上実績は約50億円)を展開する子会社のマミーナも営業損失6億円を計上し、赤字体質を脱却できていない。かつてはデザイナーなど抱え、SPAに近い形態で展開していたが、「現在は企画から製造は外部に任せ、独自性のある商品ができず、他専門店と差別化が図れなくなっている。今後、抜本的な改革をドラステックにやっていく」(杉江常務)としている。

消費増税という逆風の中でも基幹店が健闘する中、地方店や小型店などが抱える課題をいかに改善していけるかが、今後のポイントとなりそうだ。

石川 正樹 東洋経済 記者

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いしかわ まさき / Masaki Ishikawa

『会社四季報』元編集長。2023年より週刊東洋経済編集部。

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