東京ドームの母が、「野心」を脱いだ理由

モーレツ社員時代のプライドは捨てた!

子どもがキャーキャー声を上げて大喜びでボールを投げ合う「ボールプール」。その後ろのコーナーでは、男の子が電車のプラレールを信じられないくらいの長さにつなげて大喜び。女の子は「マーケット」でオモチャの野菜を買い、「ハウス」に帰ってキッチン台へ。その様子はもう「おままごと」の領域を、はるかに超えている。

東京ドームシティにある大人気の子ども遊戯施設「アソボ~ノ!」は、0歳から6歳の小さな子どもが、そしてその親もが、1日いても飽きない遊戯施設だ。

この“夢の国”を企画・開発したのが、東京ドームの岩瀬奈穂さんだ。岩瀬さん自身が、5歳の男の子の母親。その経験から、この施設を創り出した。

「育休中、子どもとよく児童館やキッズ施設にいきましたが、正直、どこも今ひとつ(笑)。遊び場がすごく狭かったり、親のテンションの上がらない所帯じみたものが多かったのです。だったら、ドームが何かできないかと思ったのが着想の原点でした」

そのヨミはズバリ当たった。2011年のオープン以来、休日ともなると入場制限するほどの盛況ぶりで、入場者は初年度から目標の2倍近くを達成。

地価が高い都心のど真ん中に、過去に前例のない未就学児のための遊び場を作るのはリスクも高かったはずだか、それを商業的にも成功させたのは、すごいお手柄だろう。

だが、このプロジェクトを成功させるまでの道のりは平坦ではなかった。小さい子どもの育児と仕事の両立の苦労や、母親としての意識と仕事人としてのプロ意識に引き裂かれる苦しみを、同時に味わった時期でもあったと言う。

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