東京ドームの母が、「野心」を脱いだ理由 モーレツ社員時代のプライドは捨てた!

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当時、グロービスは6単位を取得すれば、イギリスの大学と単位交換することで、MBAが取得できる仕組みになっていた。そこで、岩瀬さんはある計画を立てた。仕事と勉強の傍ら、子作りをして、妊娠したら、産休・育休取得中に思い切り勉強ができるな、と。子どもとMBAの両方を、同時に取得するプランだった。

「ところが、結婚して2年と少し経っても子どもを授からなくって……。エッ、なぜ?とショックでした。人生、思いどおりにいかないこともあるんだな、人生設計が狂っちゃったなと」

不妊治療に通うしかない――。そう決意した矢先に、妊娠が発覚。念願の子どもを授かった。

だが、さらなる試練が岩瀬さんを襲った。ひどいツワリだ。

「会社は9時半始業なのですが、満員電車がつらくて、何度も何度も途中下車しては嘔吐するので、家を朝6時に出る毎日。食欲もまるで出ず、体重は39キロにまで落ち、勉強どころか仕事をするのもつらかった。生まれて初めて『今日が早く終わればいい』と思っていましたね」

そんなことで、グロービスマネジメントスクールは5単位の取得で断念し、産休も予定よりひと月早く取ることにした。

地元・岡山で、「里帰り出産」したが、出産の1カ月前には切迫早産の兆候が見られ、1カ月間の入院を余儀なくされての“点滴生活”。だが、この「寝たきり生活」が、岩瀬さんに思わぬ副産物をもたらすことになる。

入院中、ベッドの中で悟ったこと

ベッドに体をくくりつけられての生活は、もちろんつらい。だがその一方で、「考える時間」を目いっぱい得られたことは、収穫だった。

「子どもはすぐにできるものとタカをくくっていましたが、全然、そんなことはなかった。それでも私は何とか運よく子どもを授かることができましたが、子どもとは、それだけありがたく貴重な存在なんだなと痛感しました。だから、もちろん仕事は続けるけれど、仕事と子どものどちらかを選ばなければいけないときが来たら、『必ず子どもを選ぼう』と心に決めたんです」

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