別離か退職か――。
パートナーの転勤で、この二者択一を迫られてきた女性は山ほどいるはずだ。ましてや、相手が同じ会社に勤めているなら、パートナーの出世のために、自分は涙をのんで身を引く……なんて苦渋の選択をした女性も多いに違いない。
株式会社ユニクロ商品本部IMD部の増沢友紀子さん(34歳)も、かつて、そんな選択で悩んだ1人だ。
だが、今は2児(4歳女児、0歳女児)を抱えて、育児休業中。来年4月には職場復帰を目指している。増沢さんは、どのような「究極の選択」をしたのか?
時計の針を7年前の2005年に戻す。その年、増沢さんがほぼ入社以来付き合ってきた同期の彼との間に、結婚話が持ち上がった。その彼が、北海道のエリアマネジャーに昇進。転勤することになり、当たり前のように、「仕事辞めるよね?」と言ってきたのだ。
彼がそう言ったのも無理はない。今では信じられないことだが、当時のユニクロは夜中の2時にレイアウトのOJTがあるのも常識で、休みの日でも品出し等のため店に行くのは普通。長時間労働をすることに、誰も疑問さえ持っていなかった。
だから、仕事と育児の両立なんてどだい、無理な話。実際、当時は出産・育児の経験どころか、結婚している女性店長さえいなかった。
「退職しないと別れることになる。でも、私は私で、店長経験も2店目となり、いよいよ仕事が面白くなりだしていた。一晩泣いて考えました。そして、結局、彼といたい気持ちのほうが強いから辞めるしかないと、決心したんです」
そこで、増沢さんと彼(現在の夫)は、増沢さんの上司、彼の上司、東日本の店舗を束ねる部長の元に、退職の挨拶に行った。
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