ユニクロの剛腕ママ店長、”前例”の作り方 夫の海外転勤でも、もう負けない

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「そのときの店長がどうこうというのはないのですが、私が店長だったら、売り場のレイアウトはこうして、社員へのフィードバック(声掛け)はこうするのに、なんて気持ちが出てきてしまって。結局、エリアマネジャーに『店長をやらせてください』と願い出たのです」

するとエリアマネジャーは、やや小型の店舗の店長の空きが出そうだと打診してきた。ところが、増沢さんは、ここでも自分の気持ちを素直に伝えた。

「『私は店長にもなりたいけど、キャリアアップもしたいんです。この店舗の店長でそれができますかね?』と言ったんです(笑)」

実は、増沢さんは、産休に入る直前に、エリアマネジャーへの昇進試験で不合格、という辛酸をなめていた。

「そのときの悔しさが私の中に残っていて、リベンジではありませんが、何が何でもキャリアアップしたい気持ちが、よみがえってきたのです」

結果として、増沢さんの意見は会社に聞き入れられ、復帰から5カ月後の9月には、そのまま持ち上がりで、新浦安店の店長に就任することになった。

前向きに、仕事を手伝ってもらうには

ユニクロの仕事はキツい――。世間でよくそう噂されるだけあって、ユニクロの店長の仕事量は膨大だ。

オープン前に出社し、掃除に品出し、売り場チェック、レイアウト作り、レジの準備、接客、バイトの面接に、シフトの組み立て、新人教育に商品発注……。そのうえ、売り上げや店舗人事の責任も負う。

以前は、朝7時から夜11時まで働くのが常識だった職場だ。増沢さんのように、子どもの保育園の送り迎えのため、朝8時半から夕方5時半までしか働けない「ワーキングマザー店長」は前例がない。

 実際、この膨大な仕事量に、どう対処しているのか?

「計画以上に売れるときは、どうしても帰れない日もある。そんなときは、本部に勤める夫に子どもの保育園のお迎えを頼んで、ご飯も作ってもらいます。店舗では、『店長代行』や社員に、権限を委譲して、店長業務を手分けしてやってもらうしかありません」

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