東京ドームの母が、「野心」を脱いだ理由 モーレツ社員時代のプライドは捨てた!

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そうは言っても、この「プライド」という厄介なシロモノを捨てるのは、そう簡単なことではなかったという。

「たぶん、私は、出世欲もすごくあるほうでした(笑)。本来、私が行く予定だった海外出張に、妊娠が発覚して男性の後輩に行ってもらうことになったときは、悔しくて仕方がなかったくらいです。育休中に、同期の男性陣がどんどん出世していくのも、『子どもがいちばん』と割り切ったつもりなのに、なかなか割り切れない自分がいたりしました」

時短勤務のため、会議を途中で抜けざるをえないこともあったし、息子さんが高熱を出したと、仕事中、保育園に迎えに行かなくてはいけないこともあった。

そんなときは、「これじゃあ、人の上に立つ資格もない。周りに迷惑をかけるだけだ」と意気消沈したそうだ。だが、岩瀬さんは、「仕事への取り組み方」を変えることで、その危機を乗り切った。

「上に立つ立場になれなくなってもいいじゃないと、出世欲も捨てることにしました(笑)。ただ、成果には、こだわろうと。この開発だけは、何が何でも成功させようと心に決めました」

つまり、出世だ何だという「欲」を捨てて、事業という「コト」に集中したことが、アソボ~ノ!の成功や、仕事と育児の両立という難題解決につながったというわけだ。

筆者は、その言葉を聞いて、DeNAの創業者、南場智子氏が言っていた言葉を思い出した。曰く、

「給料をとりながらプロとして職場についた以上、自分の成長に意識を集中するのではなく、仕事と向き合って欲しい。それが社会人の責任だ。そして皮肉にも、自分の成長だ、へちまだなどという余裕がなくなるくらい必死になって仕事と相撲をとっている社員ほど、結果が出せる人材へと、驚くようなスピードで成長するのである」(『不恰好経営』216Pより)

さらに、仕事とは「コト」に意識を集中することで思わぬ成果が得られるのだ、と。

何だか、岩瀬さんの言葉に重なる。

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