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〈御厨貴・東京大学名誉教授に聞く〉自民圧勝の歴史的な意味/高市「公邸政治」の弱点とは?/問い直すべき2大政党制実現への道

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「主権者である国民の皆様に、高市早苗が首相にふさわしいかどうかを決めていただく」と二者択一を国民に迫った(写真:ブルームバーグ)

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2026年2月の総選挙において、自民党単独で「3分の2」以上の議席を獲得するという文字通り「圧勝」した高市政権。このかつてない巨大与党の誕生は、日本政治の構造をどう変えるのだろうか。政治学者の御厨貴・東大名誉教授に、自民圧勝が持つ歴史的な意味と今後の展望を聞いた。

ーー今回の選挙結果は、単なる一政党の勝利という枠を超え、自民党、ひいては国会の構造そのものを根底から変えてしまうような、極めて衝撃的なものでした。まず、「自民単独で3分の2以上の議席」の意味をどう捉えるべきでしょうか。

ちょうど昨年が自民党結党70周年。その71年目という節目に異例ずくめの解散が行われ、ふたを開けてみれば自民党が単独で3分の2以上の議席を確保した。

そもそも1955年の結党時、自民党は日本社会党の統一に対抗する形で「保守合同」を果たした。当時の狙いは、保守か革新かという2大勢力拮抗の中で、何とか憲法改正を実現するための3分の2を確保することにあった。しかし、岸信介元首相がどれほど腐心しても、この壁を破ることはできなかった。

戦後政治の構造は、革新勢力が常に3分の1超を死守し続けることで、憲法改正の発議を阻むというバランスが成り立ってしまった。

ところが今回、結党から70年の時を経て、岸氏の孫である安倍晋三元首相を師と仰ぐ高市早苗首相が、ついに3分の2を手中に収めた。これは、70年前の結党の目的が、長い年月を経てようやく具現化したともいえる。ひょうたんから駒のような側面はあるが、日本の議会政治史において、非常に大きな転換点だ。

疑似首相公選制を成し遂げた

ーー歴史的な転換が現出した理由とは?

御厨 貴(みくりや たかし)/1951年、東京都生まれ。東京大学法学部卒業。東京都立大学、政策研究大学院大学、東大教授を歴任し、現在は東大名誉教授。専門は日本政治史で、オーラルヒストリーの第一人者(写真:共同)

私は事実上の首相公選制を成し遂げてしまったことに尽きると思っている。

高市氏は対抗する首相候補がいないにもかかわらず、今回の選挙において「私を首相に選ぶのか、あるいはほかの人を選ぶのか」という二者択一を国民に迫った。かつて中曽根康弘氏や小泉純一郎氏が挑もうとしたが、貫徹できなかったポピュリズムを、彼女はやり切ってしまった。国民が直接リーダーを選ぶという感覚を、議院内閣制であるにもかかわらず疑似的に作り出した。

その結果として得たのが「3分の2」という絶対的な数。これによって、高市氏は自民党の救世主になった。これまで自民党は「壊れていく過程」にあると私は指摘してきたが、その壊れゆく組織が、高市氏という強烈な個性を中心にドーンとひっくり返り、息を吹き返した。

これまでの石破茂政権的な、いわばジトジトした、熟議と言えば聞こえはいいが決断が遅い、できない理由を並べる政治に対し、国民は明確な言葉を求めた。本当に実現できるかは別として、「できる」と言い切る強さ、世の中を明るく塗り替えてくれるような言葉が圧倒的に支持された。

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