週刊東洋経済 最新号を読む(5/23号)
東洋経済オンラインとは
キャリア・教育 #企業再生のリアリズム――地域の現場から

成功するための努力は、なぜムダなのか 古くて新しい「原因と結果の法則」

8分で読める
  • 中里 基 企業再生ファンド勤務 ターンアラウンドマネージャー
2/4 PAGES
3/4 PAGES

さらに余談になりますが、因果関係に混乱があるトピックとして、テレビの視聴率が挙げられると思います。私は面白い番組だから視聴率が高いという因果関係は、厳密にいうと正しくないと感じています。

テレビ番組は「面白い」から見るというより、「面白そう」だから見るというのが基本的な視聴行動で、すなわち番組に対する期待値で見ているのだと思います(考えてみると当たり前のことです)。そして、期待値を形成する材料は過去の情報の蓄積ですから、要は過去の結果が視聴率を作っています。ということは、本来、視聴率がよい回に着目するというよりは、その前の回やそこまでの蓄積に着目するというのが因果関係を語る正しいアプローチかと思います。

なぜヒットを打てたか、わからない

さて、ここで話をビジネスに戻しますが、よく成功した経営者へのインタビューなどで、事業がうまくいった理由などを振り返り、なぜうまくいったのかと感想を聞いたり、分析したりする場面を目にします。でも、私はそもそも事業の成功とその原因との間に、因果関係はそれほどない気がします。

なぜかというと、狙って事業を成功できることなど皆無だからです。事前に計算し尽くされた能動的なアクションが成功につながることなど、ほとんどないように思えるからです。

(私は成功者ではまったくありませんが……)小さな成功をした自分の数少ない経験を振り返ってもそうで、なぜうまくいったのかとか聞かれてもよくわかりません。うまくいかなかったその他多くのチャレンジと何が違ったのかと聞かれてもよくわかりません。

そんなことを振り返っていると、下手くそながら学生時代に野球をやっていた頃を思い出します。野球の試合でヒットを打ったとき、なぜヒットを打ったのかと言われてもよくわかりません。(もちろん狙い球はありますが現実的には)ボールが来て振ったら、ヒットになったとしか言いようがありません。要するにジャストミートがヒットになるとは限らないわけで、よい当たりでも正面のライナーならアウトですし、打ち損ねてポテンヒットでも内野安打でもヒットです。

そこに再現性はほとんどありません。ヒットを打ったときの能動的な工夫を積み上げてノウハウとしてヒットを打つコツができるかというと、そういうものでもないと思います。ピッチャーの投球、自分の振りの位置やタイミング、ボールとの接点や角度、風向きや相手の守備位置……、つまりそこには変数が多すぎて、かつ自分でコントロールできることは少なすぎて、同じことは2度と起こらないからです。

大体、どんなバッターでも3割打てれば上出来なわけで、7割は失敗しています。因果関係などしょせんはそんなものではないかと思います。

次ページが続きます:
【「確実に失敗すること」をやらない】

4/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

キャリア・教育

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象