成功するための努力は、なぜムダなのか

古くて新しい「原因と結果の法則」

 戦略コンサルタントを経て、現在、会津のバス会社の再建を手掛ける著者が、企業再生のリアルな日常を描く。「バス会社の収益構造」といった堅い話から、 「どのようにドライバーのやる気をかき立てるのか?」といった泥臭い話まで、論理と感情を織り交ぜたストーリーを描いていく。
お宮参りなどの縁起担ぎをするのはなぜか?(撮影:田所千代美)

PDCAサイクルは正しいか?

バス会社は意外と縁起を担ぎます。

バスやタクシーを新しく購入したときは、大安の日取りを選んで修祓式(しゅばつしき)という車両の安全祈願をします。バスやタクシーの営業所には神棚が置いてあり、その存在を皆どこか意識していますし、営業所が移転する場合には神主さんをお呼びし移転先の営業所に入魂し直していただきます。年末には市内の神社に幹部社員が集まり、安全祈願のお祓いをします。数え上げればきりがありません。

当社に限らず、交通事業を行っている企業、人の命を預かる企業はどこも似たようなもののようです。縁起というのは、もともとは仏教用語で因果関係の事を指すのだそうです。実際のところ、このように担いだ縁起と、社内外で起こっていることの間に因果関係があるのかはわかりません。

そうはいっても私たちは、このような「縁起」も含め、つねに原因と結果の因果律の中で企業活動を営んでいます。

経営において普遍的に正しいとされるPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルもその絶対的な前提は因果関係にあります。PDCAサイクルの骨子たる「振り返り(Check)」と「改善(Action)」は、失敗も成功もそこには原因があり、その原因を明らかにし、よりよいものにしていくという立場が前提になっているからです。

しかしこういう概念的なものはともかく、経営上の因果関係というのはそうとう怪しいものも含まれています。私はPDCAサイクルそのものを否定するものでは決してありませんが、経営における因果関係というものをどこまで真剣に考えるべきか、いつも悩ましく思っています。

次ページコンサルの料金はなぜ成果連動ではないか
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 世相をリアルに映し出す 流転タクシー
  • 最新の週刊東洋経済
  • コロナ後を生き抜く
トレンドライブラリーAD
人気の動画
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
面接や説明会で採用者が嫌う「9つのNG質問」
面接や説明会で採用者が嫌う「9つのNG質問」
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
会社にとって「一番お荷物になる社員」5つの条件
会社にとって「一番お荷物になる社員」5つの条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
生前贈与がダメになる<br>相続の新常識

相続をめぐる環境が激変しています。年110万円まで非課税だった生前贈与が税制改正により認められなくなる可能性も。本特集では相続の基本から、よくあるトラブルと解消法、最新路線価に基づく相続税額、さらに生前贈与の将来動向まで取り上げました。

東洋経済education×ICT