身近な例でいえば、事件を扱う刑事さんが思い浮かびます。一つひとつの証拠(点)からつなぎあわせて、文脈を作り(線)、そして全体像(平面)を想像し、目的を探り、事件の解決(立体)へと繋げていきます。このようなプロセスは、何も刑事のみならず、私たちの日常でも非常に役立つ思考です。これを子どもの勉強に当てはめてみましょう。
たとえば国語でいえば、ある1つの文の訳はわかる。しかし前の文や後ろの文とのつながりは見えない(わからない)としたら、このような人は点しか見えない人です。前後の文の意味のつながりはわかるが、文章全体の意味がわからない人は、線は見えているが平面が見えていない人。さらに文章全体の意味はわかったが、その文章が自分の人生や社会とのつながりにおいてどのようになっているかがわからない人は、平面は見えているが、立体的に見えない人ということになります。
ここで重要なことは、「もともとは立体だ」ということなのです。つまり、自分の人生や生活、社会という大きな文脈の中で、その出来事や文章などの意味が存在しているという「事実」があるのです。
受験では、平面まで見えると、合格します。はじめは点の勉強、次に線として見るようにして、最終的に平面という全体像がわかり理解できるという状態です。しかし、平面思考で止まっている人は、受験が終われば、それで終了なのです。つまり、まったく社会や自分の人生とつながっていかないということなのです。実にもったいないことですね。立体的に見えている人は、自分や、社会とのつながりが見えるので、学校での勉強はすべて学びとなり、今後に役立っていくのです。
社会人になって、やりたくて始めた勉強が、身に付いていき、面白くなっていく場合、まさに、立体的視点があるため、面白く感じるのです。それを上からやれと言われたからと仕方なしに勉強している場合、それはせいぜい試験に合格できる程度の平面レベルですから、勉強していて結構つらいことでしょう。
点思考から立体思考にバージョンアップするには
では、点思考→線思考→平面思考→立体思考にどのようにしてバージョンアップしていけばよいでしょうか? 今回、中野さんにお話ししたいことは、このことです。お子さんに対して、どのようにしていけば、立体思考へと誘導できるのかをこれからお話ししていきます。
方法はいくつかあるのですが、その中でも代表的な1つの方法について、述べていきます。それは、「言葉」によって誘導する方法です。
【点思考→線思考へ】
国語や英語であれば、1文のみをとらえている状態です。数学であれば1単元です。理科社会であれば用語にあたります。これらは単なるパーツですね。パーツだけ見ていても何が何やらさっぱりわかりません。ちょうど、プラモデルやレゴの部品だけみているようなものです。これを線思考として見ることができるようにするには、
「前の文(内容)と、どうつながっていると思う?」
と聞けばいいのです。そうするとつながりを考えだします。部品Aと部品Bをつなげると何ができる? という感じです。すると点が動いて線を描き始め、意味が少しわかりだし、面白くなってきます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら