僕には不安もあった。確かにゲーム画面はきれいだし、舞台が広大だということはわかる。かつて「ゼルダの伝説 時のオカリナ」をプレーした時に、スタート地点であるコキリの森を抜けて、広大なハイラル平原に出た時に、その眼前の風景に感動したことはよく覚えている。
しかし、時のオカリナから20年近い時が過ぎ、ゲームの表現は行き着くところまで行き着いたと思える。もはやゲームの風景がきれいなのは当然である。そうした現状においては、トレーラーとして映し出された、ただ広くてきれいなだけのブレス オブ ザ ワイルドの風景は「何もない空間=やることがない空間」にしか見えなかったのである。
そもそも3D空間を駆け、敵と戦うようなことは、それまでの「トワイライトプリンセス」や「スカイウォードソード」といったゼルダシリーズでもやってきたことである。そして何より、画面上のオブジェクト、つまり拾ったりいじったりできるものが、それまで僕のプレーしてきた「Fallout4」や「ウィッチャー3」や「Skyrim」といったゲームと比べて少ないように思えた。
これらを踏まえたうえで、ブレス オブ ザ ワイルドのプレーをレビューしたい。
これまでと異なるゼルダ
最初にプレーヤーが操作するキャラクターである「リンク」が目覚めるのは、他の土地と隔絶された、非常に高い台地である。オープンワールドはプレーヤーが広大な世界を自由気ままに冒険できるシステムといいながら、いきなり隔絶された土地に立たされるわけだが、最初はあくまでもチュートリアルである。プレーヤーは通常の進行であれば、この土地で4つの祠を巡り、今後の冒険に必要なアイテムを手に入れ、最後に高い台地から飛び立つことを可能にするアイテムを手に入れる。
この時点で、すでにこれまでのゼルダシリーズとまったく違うことがわかる。これまでのゼルダにおいては、主にダンジョンの中に攻略に必要な、爆弾や弓、フックショットといったアイテムが隠されており、ダンジョン攻略中にそれらを手に入れることによって、ダンジョンのボスを倒せたり、また先の土地でそれらを使って進むことで、新しい場所に行けたりするのだが、ブレス オブ ザ ワイルドではゲームクリアに必要なアイテムがすべてこのチュートリアルの時点で手に入ってしまうのである。
ただ、プレー感としては、ここをプレーしている時点では、僕の中ではそれほどこれまでのゼルダと大きく違った印象はなかった。唯一は、寒い雪山の上にある祠に向かう時。このエリアでは寒さでダメージを受けてしまうのだが、それを防ぐ手段として「防寒着を手に入れて進む」「寒さ耐性を得られる料理を食べつつ進む」「松明を持ったまま移動したり、薪に火をつけながら進む」「ダメージを受けつつも、食べ物で回復しながら強引に進む」といった、いくつかの手段が与えられているのは新鮮だった。これまでのゼルダでは、解放は1つに決められていることが多かったからだ。ちなみに自分は料理を食べて進んだ。
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