成功するリーダーには良い「聞き役」がいる

松下幸之助が語った成功するための経営哲学

経営者として上に立てば立つほど、耳当たりのいい話しか入ってこなくなるものだから(写真:東洋経済写真部)
江口克彦氏の『経営秘伝――ある経営者から聞いた言葉』。松下電器産業(現パナソニック)の創業者である松下幸之助の語り口そのままに軽妙な大阪弁で経営の奥義について語った著書で、1992年の刊行後、20万部を売り上げるヒットになった。本連載は、この『経営秘伝』に加筆をしたもの。「経営の神様」が問わず語りに語るキーワードは、多くのビジネスパーソンにとって参考になるに違いない。

 

経営者はひとりの「聞き役」を持っておらんといかんな。経営上いろいろな問題や悩みがある。そういうことを聞いてくれる人やな。そういう人がおるかどうか。

誰でもそうやろうけど、そう毎日が楽しく愉快なときばかりではない。経営者とて、普通の人間やから面白くないとき、つらいときもある。だからと言うて、周囲の人に当たり散らしたり、愚痴をこぼしたりということでは、大勢の部下の人たち、周囲の人たちが気の毒やな。だから少しぐらいつらいこと、厳しいことがあっても、経営者は、指導者なんやから、そういうことをぐっとのみ込んで我慢せんといかんことがある。というよりそういう場合のほうが多いわけや。

秀吉には三成がいた

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しかし、それでも我慢できん、どうにも内からこみ上げてくる激情は抑えがたい、そういうときもある。そういうときにその「聞き役」やな、その人がおれば、思いきりそのひとに腹の立つこと、思い悩むこと、なんでもかんでも話しすることができるわけや。話しすれば、おおかたパーッと発散して、まあ、気を取り直して、これからさらに発奮しようかということになる。

秀吉な、豊臣秀吉。彼が、なんで天下をとることができたかというと、石田三成がいたからやと、わしは思うんや。

秀吉は豪放磊落(らいらく)な人やったとか、ほがらかで楽観的な人やったとか言われとるけどな、いくらそういう秀吉でも、人間や。腹を立てたいときもあれば、愚痴をこぼしたいときもある。そういう怒りや愚痴を三成が受け止めたんやな。そうですか、なるほど、とか言うてね。三成が聞いてやった。

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