トヨタ・豊田章男社長はコミュの達人だった

あのメガネに隠された共感系リーダーの秘密

豊田社長の圧倒的な「コミュ力」のヒミツとは?(写真 : UPI/アフロ)

「コミュニケーションの最大の問題は「もう伝わっている」と言う幻想を抱くことである」――バーナード・ショー。

「以心伝心」「あうんの呼吸」「沈黙は金なり」などの言葉で表されるように、日本の企業のリーダーは、自分の思いがテレパシーのように言葉なしで伝わっていると思い込むことが多い。もしくは一方的に自分の言葉を押し付けて、それが理解されている、と思い込む人も多い。以前の当欄で触れたように、コミュ貧上司が多いのである。また、前回の記事では、時代は「オラオラ系」ではなく、「共感系」リーダーを求めている、という拙論をご紹介したが、コミュニケーションを通じて、「共感」と「絆」を築くことに情熱を傾ける経営者は日本にもいる。

そのうちの一人で、筆者が「共感系リーダー」の代表格として注目するのが、天下のスーパーカンパニー、トヨタの豊田章男社長だ。ただの創業者の孫の「ボンボン」と甘く見てはいけない。この人の「スゴさ」は、絶好調の業績を導き出した経営手腕だけではない。その圧倒的な「コミュ力」にある。

下々の人間である筆者が、雲の上のようなお方について論じるなど、恐れ多いのだが、ここは一つお許しいただくとして、今回はこの豊田氏のコミュ力のヒミツについて語らせていただこう。 

ヒミツ①捨て身で「演じ切る」

筆者が豊田氏に注目したきっかけは、2011年、震災後初の東京モーターショーでのプレゼンだった。

「自分はガソリンのにおいやエンジン音が大好きなので」「CMのドラえもんは、未来の道具で仲間を救ってくれる。本当のドラえもんは、私達のモノづくりの現場にいると信じています! モノづくりの底力を信じています!」「合言葉は、Fun to drive again! そしてNever give up! です」など、皮肉屋なら鼻白みそうな、松岡修造並みの「アツ(くるし)さ」がやたら新鮮で、パッションがビンビンに感じられて、少し、ウルウルしてしまった。

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