電王戦を振り返る、将棋に必勝法はあるか?

人類対コンピュータの「ゲーム」を「ゲーム理論家」が考える

うっかりミスがなければ、勝負のゆくえは読める?

実はこのゲームは後手必勝だ。その理由は、先手がどのように数字を選んだとしても、後手は毎回4の倍数(4、8、12、16、20)で自分の番を終わらせることができる点にある。

先手が「1」なら「2、3、4」、次のターンで「5、6」とくれば「7、8」……と繰り返し、各ターンを必ず4の倍数で終える。この戦略に従うと、4の倍数である20を数えるのも後手となり、先手に21をコールさせて負かすことができるのだ。

Not-21が後手必勝のゲームだということがわかったが、最後に数え上げる数字が21ではなく他の数字だったら、結果はどうなるだろう。

たとえば、Not-22も後手必勝なのか、それとも今度は先手必勝なのだろうか。

Not-21が後手必勝と知っていれば、Not-22が先手必勝であることもあっという間に示せる。なぜなら、先手が最初に1をコールすれば、残りの数字は21個だ。あとはNot-21の必勝戦略をそのまま使って(ただし、終える数字を「4の倍数+1」に変えて)勝利をつかめばいい。

つまり、Not-22の先手であることは、Not-21の後手であるのとほとんど同義なのだ。関心のある方は、他の数字の場合にどちらに必勝戦略があるのかを、ぜひ考えてみてほしい。

ミスがなければ、結果は必ず引き分けに……

次に、「三目並べ」(別名「○×ゲーム」)を見てみよう。これは、3×3のマスに、先手が○、後手が×を一つずつつけていって、縦、横、斜めのどこか一列に自分の印を揃えた方が勝ち、というゲームだ。

海外でも同様のゲーム(アメリカでは「Tic Tac Toe」と呼ばれる)が、子供から大人にまで親しまれている。みなさんも、一度はプレーしたことがあるのではないだろうか。

この三目並べには、必勝法は存在しない。その代わりに、先手にも後手にも、「最悪の場合でも引き分けに持ち込むことができる」ような戦略がある。ざっくり言うと、2人のプレーヤーがそれぞれ最善を尽くせば、三目並べの結果は必ず引き分けになるのである。

ここまで、①先手必勝、②後手必勝、③少なくとも引き分けには持ち込める、というゲームをそれぞれ見てきた。

それでは、将棋の場合はどうなのだろうか?

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