電王戦を振り返る、将棋に必勝法はあるか?

人類対コンピュータの「ゲーム」を「ゲーム理論家」が考える

そもそも、必勝法は存在するのだろうか?

たとえばGPS将棋は、1秒間に2億から3億の局面を読むことができるという。この驚異的な先読み能力と疲れ知らずの安定した挙動によって、コンピュータは終盤戦で特に強さを発揮する。

コンピュータの中に広がる棋譜は、人類の夢想するSFにさえ肉薄する

自分が有利になる形を見逃さず、相手がどう対応しようと最善手を正確に選び続けることができるからだ。

このままコンピュータの計算能力が向上すれば、中盤あるいは序盤、究極的には最初の一手を指す前から勝敗が決まってしまうようになるのかもしれない。そんなSFのような世界さえうっすらと予感させる勝負だった。

ところで、そんなふうにコンピュータ将棋ソフトが必勝の極致にたどり着けるかどうかを議論する前に、ひとつ確認しておかなければいけない問題がある。

そもそも、将棋に必勝法はあるのか。つまり、「相手がどんな手で応戦してきても必ず勝てる」ような指し方が、理論的に存在するのか。今回は、将棋をはじめいくつかのゲームを題材に、この必勝法について深掘りしていこう。

はじめに、2人のプレーヤーが交互に数字を数え上げていく「Not-21」という単純なゲームを考える。

各プレーヤーが連続した数字を1~3個の範囲で個数を選んで数え、最後に21を数えた方の負け、というゲームだ。

具体的には、先手「いち、に」 後手「さん、し、ご」 先手「ろく」……といった具合にゲームが進んでいく。さて、このNot-21に必勝戦略はあるのだろうか。あるとすれば、先手必勝か、それとも後手必勝か。正解を聞く前に、みなさんもちょっとだけ考えてみてほしい。

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