7年の豊作から7年の飢饉へ、経済も同じ? 旧約聖書と経済学者が異口同音に示唆する「金融危機とその回復」

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日本経済が、世界中から俄然、注目を集めるようになっている。
きっかけは2012年12月、安倍晋三総裁率いる自民党がおよそ3年ぶりに政権に復帰したことだ。とりわけ、安倍総裁が掲げた「アベノミクス」といわれる経済政策への期待が内外で膨らんでいる。
しかし、こうした潮流にあっても、相変わらず「日本や世界経済はアメリカ次第」だ。日本を知るにも、世界を知るにも、やはりアメリカ経済を知らねば始まらない。
自分と無縁だとはもちろん思っていない、知っておいた方がよいに違いない、しかしなかなか頭に入って定着してはこない、そんなアメリカ経済の話。
本連載では、アメリカ経済の本格入門書『やっぱりアメリカ経済を学びなさい』を上梓したばかりの気鋭のエコノミストが、アメリカ経済への興味の端緒を開くエピソードを紹介していく。
 

 

 バブルに見舞われてしまったら

 ラインハートという名前を最近耳にしたことのある方は、読者のみなさんの中にどのくらいいらっしゃるでしょうか。

2011年に邦訳版が刊行されて以来、日本でも多くのメディアに取り上げられた『国家は破綻する』(原題はThis Time Is Different )という本、この共著者である、ハーバード大学のラインハート教授とロゴフ教授の執筆した論文に、分析ミスがあるという指摘がなされ、ニュースになったというのが先日のことです。

両氏は一部にミスがあったことを認めていますが、指摘を踏まえての精査はこれから進んでいくことになるのでしょう。ともあれ、大御所経済学者の手による、大々的に公刊された論文や本であっても、すべてが完全に正しいとは限らないということを思い出させてくれる事件でした。

さて、その話はおいて、ラインハートです。このカルメン・ラインハート教授とその夫で元FFRB金融政策局長のビンセント・ラインハートが、金融危機の歴史を調査し、2010年に面白いことを言っていました。

「バブルに見舞われた国々では、バランスシート調整が終わるまで平均7年かかる」

これが、なぜ面白いのか?

答えを見るのを少し我慢して、次の文章を読んでみてください。

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