自国を安売りする近隣窮乏化⇔無理な背伸び

「通貨安」と「通貨高」、極端と極端を考える

 

日本経済が、世界中から俄然、注目を集めるようになっている。
きっかけは2012年12月、安倍晋三総裁率いる自民党がおよそ3年ぶりに政権に復帰したことだ。とりわけ、安倍総裁が掲げた「アベノミクス」といわれる経済政策への期待が内外で膨らんでいる。
しかし、こうした潮流にあっても、相変わらず「日本や世界経済はアメリカ次第」だ。日本を知るにも、世界を知るにも、やはりアメリカ経済を知らねば始まらない。
自分と無縁だとはもちろん思っていない、知っておいたほうがよいに違いない、しかしなかなか頭に入って定着してはこない、そんなアメリカ経済の話。
本連載では、アメリカ経済の本格入門書『やっぱりアメリカ経済を学びなさい』を上梓したばかりの気鋭のエコノミストが、アメリカ経済への興味の端緒を開く。
 

 

 国際金融に「三方よし」はありえない?

さて、今回はアベノミクス下の日本においてもさんざん話題になっている「通貨」のことを、アメリカやアジアの例を挙げながら、考えてみたいと思います。

とその前に、「国際金融のトリレンマ」という言葉をみなさんはご存じでしょうか?

これは、通貨に関係する3つの政策課題、
  ①固定的な為替レート
  ②自由な国際的資金移動
  ③適切な金融政策
 すべてを同時に解決するのは難しい、ということを意味します。

必ず、どれか1つを捨てる必要がある。

たとえば、輸出主導の成長を求めて通貨安政策を採る国(新興国に多いパターンです)の場合は、
  ①固定的な為替レート
  ②自由な国際的資金移動
が優先されるため、③適切な金融政策が採れず、さまざまな問題に直面してしまいます。

これに対して、アメリカの中央銀行であるFed(連邦準備制度)の最高意思決定機関FRB(連邦準備制度理事会)、バーナンキ議長は、
  ②自由な国際的資金移動
  ③適切な金融政策
を優先すべきと主張します。①固定的な為替レートが採れないことによる経済成長の問題は、財政政策と金融政策によって対処することができると指摘しているのです。

さて、それは本当なのでしょうか?

ここでは、しばしば批判の的にもなる「金融政策」によって導かれる極端と極端、「通貨安」と「通貨高」についての理解を深めていきたいと思います。

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