日本経済が、世界中から俄然、注目を集めるようになっている。
きっかけは2012年12月、安倍晋三総裁率いる自民党がおよそ3年ぶりに政権に復帰したことだ。とりわけ、安倍総裁が掲げた「アベノミクス」といわれる経済政策への期待が内外で膨らんでいる。
しかし、こうした潮流にあっても、相変わらず「日本や世界経済はアメリカ次第」だ。日本を知るにも、世界を知るにも、やはりアメリカ経済を知らねば始まらない。
自分と無縁だとはもちろん思っていない、知っておいたほうがよいに違いない、しかしなかなか頭に入って定着してはこない、そんなアメリカ経済の話。
本連載では、アメリカ経済の本格入門書『やっぱりアメリカ経済を学びなさい』を上梓したばかりの気鋭のエコノミストが、アメリカ経済への興味の端緒を開く。
日本社会でも問題になる「格差」
それでも、格差の「本場」と言えるのは、やはりアメリカです。
広がる一方の格差の存在は、現在2期目を務めるオバマ大統領が最も関心を寄せる問題になっています。
格差は、アメリカの経済を考えるうえで、決して見過ごすことのできない大きな問題です。今回はこの格差がどのようなものであるかに注目し、アメリカの政治がそれに対して、どんな姿勢をとっているのか見ていきましょう。
先進国の中でもアメリカは特に所得格差が大きい国ですが、それは国際比較からも確認できます。2000年代後半では、「先進国クラブ」と呼ばれる経済協力開発機構(OECD)に加盟する34カ国のうち、アメリカよりも所得格差が大きいのは、チリ、メキシコ、トルコの3カ国だけです。
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