このように、政府が増税などで富裕層からお金を吸い上げる一方で、医療保険などを通じて中低所得層向けにお金を使うことを、財政による「所得再配分」といいます。
このほかにもオバマ大統領は、富裕層に限った増税をたびたび提案しており、財政が所得再配分を行う力を強めようとしています。
「学歴プレミアム」上昇中―教育を強化せよ
昨今、よく言われることに「技術革新による“中くらいの技術”の陳腐化」があります。中間層が担う仕事は新たな技術に代替され、代替できない高度な能力を用いる仕事か単純労働に雇用が二極分化していくというものです。
とはいえ、技術革新は格差の理由の一面にすぎません。アメリカ経済の歴史を振り返れば、これまでにもいろいろな技術革新がありました。最先端の技術者を求める需要が強いのは、今も昔も同じです。
にもかかわらず、なぜ最近になって急に「勝ち組」が頭ひとつ抜けるようになったのでしょうか。
どうやらその背景には、「教育」の問題がありそうだということがわかりました。技術革新に追いつくような高い技術を持った労働者が育たないために、ごく一部の「勝ち組」の所得が急伸しているのです。
同じ技術水準で「あの人よりも安い給料で働きますよ」という人が新たに応募してくれば、企業はコストの安い人のほうを雇いたいと考えますよね。
求人が増える以上に応募者が増え、その仕事をこなせる人が必要とされている人数以上にいるとすれば、たとえ高い技術を必要とする仕事であったとしてもそれは陳腐化し、お給料は下がります。