アメリカの起業家精神はこうして育まれた レモネード・スタンド、民間の危機意識、政府の目覚めという話

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日本経済が、世界中から俄然、注目を集めるようになっている。
きっかけは2012年12月、安倍晋三総裁率いる自民党がおよそ3年ぶりに政権に復帰したことだ。とりわけ、安倍総裁が掲げた「アベノミクス」といわれる経済政策への期待が内外で膨らんでいる。
しかし、こうした潮流にあっても、相変わらず「日本や世界経済はアメリカ次第」だ。日本を知るにも、世界を知るにも、やはりアメリカ経済を知らねば始まらない。
自分と無縁だとはもちろん思っていない、知っておいたほうがよいに違いない、しかしなかなか頭に入って定着してはこない、そんなアメリカ経済の話。
本連載では、アメリカ経済の本格入門書『やっぱりアメリカ経済を学びなさい』を上梓したばかりの気鋭のエコノミストが、アメリカ経済への興味の端緒を開く。
 

「レモネードはいかが?」初めてのビジネス

参院選も終え、引き続きアベノミクスの下で「経済成長」を目指す日本経済ですが、それに際して、重要なカギを握っているのが、リスクをいとわずに新たなビジネスを起こそうとする人々の存在です。

新たなビジネスにチャレンジする「起業家精神(アントレプレナーシップ)」、しばしば耳にする言葉ですが、その本場といえば、やはりアメリカが思い浮かぶのではないでしょうか。今回は、ここから考えていきたいと思います。

起業家精神は、どこから生まれるのか。まずご紹介したいのが「レモネード・スタンド」の話です。

レモンを絞った果汁に砂糖を入れて冷たい水で割ったレモネードを、子どもたちが用意します。自宅の前などで、机や箱の上にコップを並べて、通りかかった人に、このレモネードを売るというアメリカの夏の風物詩。

たとえば、NHKで放送している『おさるのジョージ』(原題はCurious George)には、「おさるのジョージ」がサッカーボールを買うため、街の人たちにレモネードを売る、という話が出てきます。最初は何もわからず、お金をもらうことを忘れてしまったり、失敗もするのですが、徐々にコツを覚えていく様子が描かれます。

アメリカでは古くから、幼い頃の楽しい思い出として誰しも経験するレモネード・スタンドが、起業家精神や自由な資本主義の象徴とみなされており、今も変わっていません。

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