7年の豊作から7年の飢饉へ、経済も同じ? 旧約聖書と経済学者が異口同音に示唆する「金融危機とその回復」

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「擬似通貨」問題、再び?

もし今後、アメリカ経済の雲行きが怪しくなれば、アメリカの中央銀行であるFRBは金融緩和を強化するかもしれません。そうなれば、円は“安”泰ではなくなるでしょう。

日本経済が再生できるのかどうか? それを語るには「やっぱり」アメリカ経済の実情を知っておく必要があるというわけです。

知っているようで知らないアメリカ経済について、基本からわかりやすく、しかし本格的に紹介していくことが、仕事で長年アメリカ経済を見つめてきた私たちの願いです。

今回冒頭でご紹介したのは、実は、書籍版『やっぱりアメリカ経済を学びなさい』第1章に取り上げたエピソードでした。

同書第1章は「住宅市場の回復」や「シェール革命」、「製造業の復活」という3つの明るい材料から始めて、あの2008年リーマンショックによって崩壊した「信用バブル」を振り返ります。自画自賛になってしまいますが、お薦めの読みどころといえるのが、信用バブル崩壊をもたらした要因の解説部分です。

普通の入門書ではほとんど触れられることのない「疑似通貨」という問題に焦点を当てました。

銀行システムの中に存在する「擬似通貨」には、現実に手で触れることのできる紙幣や硬貨のような実体がありません。ただし、銀行への「預金額」として、それを持っていることになっているかぎりは、財布の中に入っている紙幣や硬貨と同じく、その額面どおりの価値が保証されるのです。

「疑似通貨」という問題があって初めて、2008年9月のリーマンショックはこれまで経験したことのない新たなタイプ(21世紀型)、かつ深刻な金融危機を引き起こしました。

そして、これは過去の話にとどまりません。アメリカでは早くも「長きにわたる異例の金融緩和によって、新たなバブルが芽生えているのではないか」という懸念が高まっており、「疑似通貨」問題が再び顔をのぞかせるのではないかと言われているのです。
※信用バブルについては著者・小野亮のこちらの記事もご覧ください↓
【QE3はいつまで続くのか:米国で再び膨らみ始めた信用バブル】

そんな金融不安に今も直面するアメリカですが、通貨の前に次回は少し目先を変えて、政治の面からアメリカを見つめられるようなエピソードを紹介していきたいと思います。

 ※次回の更新は6月上旬を予定しています

小野 亮 みずほリサーチ&テクノロジーズ プリンシパル

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おの まこと / Makoto Ono

1990年東京大学工学部卒、富士総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社。1998年10月から2003年2月までニューヨーク事務所駐在。帰国後、経済調査部。2008年4月から市場調査部で米国経済・金融政策を担当後、欧米経済・金融総括。2021年4月より調査部プリンシパル。FRB(米国連邦準備制度理事会)ウォッチャーとして知られる。

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安井 明彦 みずほリサーチ&テクノロジーズ 調査部長

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やすい あきひこ / Akihiko Yasui

1991年富士総合研究所(現みずほ総合研究所)入社、在米日本大使館専門調査員、みずほ総合研究所ニューヨーク事務所長、同政策調査部長等を経て、現職。政策・政治を中心に、一貫してアメリカを担当。著書に『アメリカ 選択肢なき選択』(日本経済新聞出版社)などがある。

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