「擬似通貨」問題、再び?
もし今後、アメリカ経済の雲行きが怪しくなれば、アメリカの中央銀行であるFRBは金融緩和を強化するかもしれません。そうなれば、円は“安”泰ではなくなるでしょう。
日本経済が再生できるのかどうか? それを語るには「やっぱり」アメリカ経済の実情を知っておく必要があるというわけです。
知っているようで知らないアメリカ経済について、基本からわかりやすく、しかし本格的に紹介していくことが、仕事で長年アメリカ経済を見つめてきた私たちの願いです。
今回冒頭でご紹介したのは、実は、書籍版『やっぱりアメリカ経済を学びなさい』第1章に取り上げたエピソードでした。
同書第1章は「住宅市場の回復」や「シェール革命」、「製造業の復活」という3つの明るい材料から始めて、あの2008年リーマンショックによって崩壊した「信用バブル」を振り返ります。自画自賛になってしまいますが、お薦めの読みどころといえるのが、信用バブル崩壊をもたらした要因の解説部分です。
普通の入門書ではほとんど触れられることのない「疑似通貨」という問題に焦点を当てました。
銀行システムの中に存在する「擬似通貨」には、現実に手で触れることのできる紙幣や硬貨のような実体がありません。ただし、銀行への「預金額」として、それを持っていることになっているかぎりは、財布の中に入っている紙幣や硬貨と同じく、その額面どおりの価値が保証されるのです。
「疑似通貨」という問題があって初めて、2008年9月のリーマンショックはこれまで経験したことのない新たなタイプ(21世紀型)、かつ深刻な金融危機を引き起こしました。
そして、これは過去の話にとどまりません。アメリカでは早くも「長きにわたる異例の金融緩和によって、新たなバブルが芽生えているのではないか」という懸念が高まっており、「疑似通貨」問題が再び顔をのぞかせるのではないかと言われているのです。
※信用バブルについては著者・小野亮のこちらの記事もご覧ください↓
【QE3はいつまで続くのか:米国で再び膨らみ始めた信用バブル】
そんな金融不安に今も直面するアメリカですが、通貨の前に次回は少し目先を変えて、政治の面からアメリカを見つめられるようなエピソードを紹介していきたいと思います。
※次回の更新は6月上旬を予定しています
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