QE3は縮小方向、問われる金利上昇抑制 5月FOMCではQE3運営の裁量の幅を広げたが…

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縮小

今月初めの米国連邦公開市場委員会(FOMC)は、QE3(毎月850億ドルの証券購入策)運営の裁量の幅を広げると共に、雇用への自信をみせた。前者についてはQE3の縮小だけでなく、拡大も選択肢であることを明記し、インフレ見通しを判断材料に加えた。現在はディスインフレが一部で進行している点では整合的だが、長い目でみると別のリスク、すなわち資産バブルを放置しかねない点が危ぐされる。

雇用判断は明らかに改善

一方、雇用判断に自信がみられた背景には、米国の家計を取り巻く環境の構造的な好転があると考えられる。雇用見通しもQE3を事実上決定した昨年9月と比べれば明らかに改善している。3月会合では「QE3の年内縮小・停止」が多数派を占めたが、同じ状況が今会合でも続いたと推察される。

4~6月期に入り、歳出自動削減による影響が危ぐされると共に、実際、企業活動を中心に冴えない指標が続いている。しかし、欧州債務問題の深刻化など外的ショックがなければ、短期的な踊り場に留まろう。

22日に公表されるFOMC議事録や同日のバーナンキ議長の議会証言では、QE3運営の新たな判断材料として加わったインフレ見通しに関する議論に注目が集まる。しかし同時に、市場予想比で指標の弱含みが続く中で雇用への自信を強めていることが再確認されるという点で、むしろタカ派的な印象を与える内容になるのではないかと予想する。

先に述べたように今回のFOMCは、QE3について、「購入額を増加する用意も減らす用意もある」として、拡大方向も視野に入れて柔軟に運営する方針を打ち出した。QE3については、これまで「縮小・停止のタイミング」が市場参加者の主な関心事だったが、今回の声明文でQE3運営の裁量の幅が広がった。

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