QE3は縮小方向、問われる金利上昇抑制 5月FOMCではQE3運営の裁量の幅を広げたが…
さらに、雇用だけではなくインフレの見通しがQE3運営の判断材料に加わったことで、「増減どちらもあり得る」という今回の変更の説得力が増している。
低下し続けるコアインフレ率
雇用だけに着目すれば、QE3の発動を事実上決定した昨年9月の時点に比べて、見通しは大幅に改善していると考えられ、当初よりもQE3の縮小・停止時期が早まってきている。一方、FOMCが採用している個人消費支出デフレーターで測った(コア)インフレ率は長期目標の2%を下回っているだけでなく、低下し続けている。
FOMCは最大限の雇用と物価安定という2つの使命(デュアルマンデート)を負っている点からみれば、QE3運営の条件として雇用とインフレの先行きを両にらみするのは極めて自然であり、なおかつインフレ面に注視すればQE3の拡大も選択肢となりうる。
もっとも、QE3拡大というアイデアは、目新しいものではない。すでに3月会合後の記者会見で、バーナンキ議長は質問に答えて次のように発言していた。
「雇用情勢が好転する時期が続き、さらに良くなるという理由があれば、その時点で緩和度合いを緩めるかもしれない。しかし逆もある。もし雇用情勢が弱含み、見通しが悪化すれば、当然ながら、緩和度合いを従来の水準に戻すことがあり得る。」
つまり、今回の声明文は、今後QE3を最初に変更する際の選択肢が拡大か縮小か、という点だけではなく、その後に、「従来の水準に戻す」=「縮小後の再拡大」(あるいは拡大後の再縮小)といったシナリオも視野に入れたものと解される。
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