近づくマイナス金利、ドラギ総裁も手詰まり? 景気・経済観測(欧州)

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欧州中央銀行(ECB)は5月2日の理事会で10カ月振りに利下げを実施した。主要政策金利(リファイナンシング金利)を0.75%から0.50%に、上限金利(限界貸出ファシリティ金利)を1.5%から1.0%に引き下げた一方、下限金利(預金ファシリティ金利)をゼロに据え置き、“コリドー”と呼ばれる上下限金利の幅を150bpsから100bpsに縮小した(図表1)。

マイナスの政策金利が近づいてきた

追加利下げの可能性を問われたドラギ総裁は、「今後のデータを注意深く見守り、必要に応じて行動する準備がある」と述べた。

さらに、下限の預金金利のマイナス圏への引き下げの可能性を問われ、「預金金利をマイナスに引き下げる技術的な準備が出来ていることは過去に述べた通りだ。こうした政策には予期せぬ重大な結果を招く恐れがある。仮に実施を決断する場合には、それによって生じる結果にわれわれは対処する。先入観を持たずに、必要に応じて行動する準備がある」と答えた。

前回4月会合時のマイナスの預金金利に関するコメントを振り返ると、「そうした選択肢は検討しているが、われわれは事前に行動を約束することはない。他国や他地域での同様の経験が物語る通り、マイナスの預金金利は予期せぬ重大な結果をもたらす恐れがある。われわれにとって未開の領域に踏み込むことになる」と述べていた。前回会合時の発言と比べて、明らかに踏み込んだ発言をしている。金融市場はECBがマイナスの預金金利の可能性を排除しない方針であると受け止めた。

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